日本百貨店協会によると2012年の全国百貨店の化粧品売上高は前年比2.5%増の3302億7893万円と堅調に推移した。東日本大震災の影響による売上減少があった一昨年より、売上げを伸ばした。
百貨店の化粧品売場では新客獲得が最大の課題と言われており、全ブランドを対象とするニュートラルなカウンセリングコーナーや、セミセルフな自主編集売場、通販やオーガニックブランドの導入、メールマガジン、サンプルチケット配布などあらゆる角度から取り組みを続けている。
本特集では有力百貨店10店舗(新宿伊勢丹、新宿小田急、新宿京王、西武池袋本店、三越銀座店、松屋銀座、横浜高島屋、名鉄本店、うめだ阪急、大丸心斎橋店)を取材し、今後の指針を検証してみた。
新業態に乗り出した百貨店系ブランド
大切なのは高級感と安心感のバランス
百貨店ではかつて、化粧品売場を拡張し、ブランド数が増えつつづけた結果、金太郎飴現象と言われる程売場が均一化した時代があった。その頃から新客の伸び悩みや、百貨店離れが進んだとも言われている。
この状況を打破すべく、通販ブランドやドクターズ、ナチュラルブランドを取り入れて特長づけをはじめた。最近では、オーガニック化粧品が催事の目玉ともなり、売場構築を目指す店舗が増えてきた。普段、百貨店で化粧品を買わない層を呼び込もうというねらいもある。
百貨店の顧客は化粧品売場を訪れた際、複数のブランドをはしごする。各店がブランド数を増やした結果、買い回りをする余地が増えたのである。バッグや靴、ハンカチといった婦人雑貨売場と隣接させることで、そこからの回遊をねらう取り組みもみられる。
かつて、化粧品売場と言えば1階のグランドフロアが定位置だったが、改装に伴い、フロアを分散させたり上階にあげるケースも出ている。この場合、1階に比べるとどうしても賑わい感に欠けてしまう。
「化粧品売場に必要なのは賑わい。人が多い売場は落ち着かないかもしれないが、人の往来があった方が安心感があるし、お客様の気分が盛り上がる。新しいモノに挑戦してみたくもなる」(メーカー)
確かにフェイシャルトリートメントなら個室でゆったりと受けたいものだが、カウンセリング程度ならある程度人の気配がする方が安心する。売場全体の空気感も実は大切な販促要素なのである。
このような状況下、百貨店も既存店だけに依存できないと判断したのか、セミセルフの新業態ショップを続々とオープンさせた。ルミネやアトレなど百貨店と違う客層が集まる店舗でブランド新客を育成する策に出たのだ。店名に百貨店名を入れることで特別感を出している。
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