資生堂、再生医療のメカニズムを初めて化粧品に応用

粧業日報 2018年4月27日号 2ページ

資生堂、再生医療のメカニズムを初めて化粧品に応用
 資生堂は、皮膚老化の改善を目的とした再生医療「W-PRP施術」に着目し、そのメカニズムを化粧品に応用する目的で医師との共同研究を進める中、このほど、コレステロール合成酵素「DHCR7」が正常な肌の生まれ変わり(表皮の分化)に重要な役割を果たしていることを明らかにし、この酵素を増加させる薬剤を新たに見出した。

 これにより、美容医療と同じメカニズムに基づくスキンケアを自分で行うことが可能になるという。

 美容医療領域では、目・口廻りにW-PRPを施術することにより皮膚状態が改善するといわれていることから、同社は2009年に医師と共同でその効果や作用メカニズムの研究に着手し、ヒト皮膚の細胞で発現している遺伝子約2万個をDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析した。

 その結果、「W-PRP施術」によりコレステロール合成酵素「DHCR7遺伝子」の発現が増加することを発見し、表皮でコレステロール合成酵素「DHCR7」が多く産生されていることを確認した。

 さらに、ヒト培養表皮角化細胞でコレステロール合成酵素「DHCR7」の働きを阻害すると分化が抑制されたことから、表皮の分化にはコレステロール合成が重要であることを明らかにした。

 ヒト培養表皮角化細胞を用いてコレステロール合成酵素「DHCR7遺伝子」の発現を増加させる薬剤を探索した結果、「酢酸レチノール」がDHCR7遺伝子の発現を増加させることを発見した。

 今後は、酢酸レチノールを新たなスキンケア化粧品の開発に応用していく。
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