中国は約13億人の人口を持つ巨大なマーケットですが、ヨーロッパより広い国土を持つ国家ですので、地域によって事情が異なる点があります。
第一は、経済力の違いです。以下に主要12都市の社会消費品小売総額をまとめています。
社会消費品小売総額は、国民経済における各業種が住民や社会集団に直接販売する消費財の総額で、社会消費としてカウントされる対象購買者は、政府機関、軍関係、学校、企業、個人などとなっています。
個人消費のみではないことに注意しなければなりませんが、消費活動の活発さを推し量るマクロ指標として、各都市市場の状況を探る際に利用できる数値です。
この指標を見ますと、最上位の都市と最下位の都市の開きは4倍弱、1人当たりで見ると約5倍の開きがあります。上位都市は沿海部が中心であり、近年、公共投資などで注目を集めている内陸部における消費は、まだまだ発展途上です。
第二は、習慣の違いです。先ほどの社会消費品小売総額の上位3都市で比較してみますと、北京は、贈答品などの政府関連需要が多く、贈答品では外国製品の人気が高くなっています。
化粧品の購入については保守的で、口コミを重視する傾向にあります。上海は、気品高くセンス良く消費する傾向があり、トレンドに敏感で、新製品への受容度も高くなっています。
また、高価格帯の化粧品に対する需要も高く、1000元以上の超高額商品が売れ筋になっているブランドもあるほどです。広州は、貯金より投資にこだわり、自分らしく気の向くままに生活する傾向があります。
化粧品の購入については、香港に近いことから、香港へ遊びに行った際に化粧品を購入する習慣があります。また、北京や上海と比較すると、スーパーマーケットや専門店で化粧品を購入する割合が高くなっています。
浅井潤司
(株)矢野経済研究所主席研究員
2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。
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