第4回 新たな効用の創出

 前回は約10~15%の"普及のカベ"を紹介しました。男性用化粧品はなぜこのカベを超えられないのでしょうか?

 もともと男性の消費スタイルは保守的だといわれます。女性は新しいお店、新しい商品の情報に敏感で、実際にすぐに行動に移していきますが、男性は行きつけやなじみの店を大切にしようとする傾向が強いようです。

 こうした保守的な消費傾向を持つ男性に化粧品を普及させていくためには、"新しいものへの抵抗感"を除いていかなければなりません。この抵抗感は、化粧品に関して言えば「予算化への抵抗」と「効用の未認知による抵抗」があると考えられます。

 化粧品は決して安いものではないため、購入に当たっては事前に自分の中での「予算化」が必要です。しかし少なくとも現状の男性にとっては、化粧品以外により優先順位の高い使い道がたくさんあるため、そこに予算を割くことができないわけです。

 もうひとつは「効用の未認知による抵抗」です。例えば肌にハリとツヤを与えるのが直接的な"効果"だとすれば、その結果「若々しく見える」とか「モテる」のが"効用"です。

 男性用化粧品の場合、この効用が十分に認知されていないために抵抗を感じてしまう人が多くいます。逆に言えば化粧品の購入により、直接的な効果だけではなく"より高次の何かが実現される"というストーリーがあれば、それが十分な購入動機となりうるということです。

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大神賢一郎

産業能率大学総合研究所主席研究員

コンサルティングファーム勤務を経て、1995年学校法人産業能率大学に入職。様々な業種でのマーケティング戦略研修や、小売、外食などチェーン企業における店舗業務改革指導、店長教育、スーパーバイザーマニュアル作成などを手がけており、消費市場の動向に詳しい。

http://www.hj.sanno.ac.jp/cp/page/3159

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