第5回から第7回のコラムでは、3回に分けてIFRSについてお話したいと思います。IFRSとはInternational Financial Reporting Standardsの略であり、その名の通り、国際的な財務報告に関する基準をいいます。
世界各国の企業はばらばらな会計基準を適用していますが、これを国際的な基準で統一しようというものが、IFRSです。こうした構想は1970年代から存在しましたが、2005年に欧州連合(EU)が外国企業を除く全上場企業の連結財務諸表に対して採用を義務付けたのを初め、ここ数年で100カ国以上がIFRSを適用、又はIFRSに準ずる自国基準を適用しているという状況となり、IFRSの普及は急激に進みました。
また、米国や日本でも、数年後のIFRSの強制適用に向けた議論が活発に行われています。なお、日本での強制適用の議論は、2015年~16年ごろの適用を前提として行われています。
日本ではIFRSに関する疑問として「売上高の計上に出荷基準が使えなくなる?」や「固定資産の減価償却を法人税法上の耐用年数で行えなくなる?」などといったことが言われていますが、これ以外にも数え切れない論点が存在します。また、業界によってIFRS適用に向けての論点となる事項は大きく異なります。
現行の会計基準とIFRSの差異の調査から始まり実際の対応作業を完了させるまで、一般的にIFRSの適用に向けての準備には3年程度かかると言われており、ここ1、2年で多くの日本企業がIFRSへの対応作業に着手し始めることが予想されます。
田中計士
新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー
2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。
http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/
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