「中期経営計画などつくったところで、その通りにならないんだから意味が無いですよね」
かつてのリーマンショック、昨年の東日本大震災というような思いもよらない出来事に翻弄され、経営状況が悪化してしまう企業の方々が、このようなコメントをしたくなる気持ちも十分理解できます。
確かに、先のことはどう予測したところでわかるはずもありませんし、スポーツの勝敗と同様、経営に関しても、結果を完全にコントロールすることは出来ません。
しかしながら私はこう思います。先の見えない今だからこそ夢のある中期経営計画をつくるべきではないかと。
誤解している方も多いようですが、中期経営計画とは業績の予測ではありません。
「当面は景気が好転することも考えづらいから、昨年の売上実績位を数年間は想定した方が良いだろう」と考えたり、「最悪のリスクを想定して80%位の売上でも耐えられるような企業体質にしていかなければならない」と考えたり、するようですが、いかがでしょうか。
そういった悲観的な業績予測のもとに、利益を上げられるような体質にしていくべき、といった考え方でコスト削減目標だけは緻密に作ったりする会社の姿勢をみて、従業員の方々のモチベーションが高くなるなんてことは有り得ないでしょう。
ぜひとも、創業時を思い出してみて下さい。創業時を知らないのであれば、知っている方々に聞いてみて下さい。
「10年後にはこんな会社にしたい」
「だから当面の3年間で、少なくともこんな状態にしよう」
「よって今年はこんな取り組みをどんどんやっていこう」
夢を持って、新しい仕掛けを考え、実行に移していったのではないでしょうか。
中期経営計画とは、夢を共有して組織の実行力を高めるために必要不可欠なものなのです。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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