韓国のブランドショップを訪問すると、他国ではあまり見られない独特な販売方式を見ることができる。製品を購入すると無償サンプルを沢山つけてくれるのだ。
これは製品の広告および市場テストと、韓国の「情」という文化が結合してできた独特なマーケティング方式である。店舗販売だけではなく、オンライン販売や雑誌でも様々なサンプルマーケティングが行われている。
1.店舗のサンプルマーケティング
韓国ではミシャ(MISSHA)やザフェイスショップ(THE FACE SHOP)などの多くのブランドショップが賑わっているが、これにはサンプルマーケティングも一助したと言われている。
無償サンプルを消費者にあらかじめ使ってもらい、その製品が気に入れば購入へ繋がる。一般的に配布されるサンプルは、ローション、クリーム、マスクなど様々であり、ポーチやハンドタオル、韓流スターのブロマイドなど、顧客をひきつける事ができるものなら、化粧品に限定してはいない。
どこの店でも店員が袋いっぱいサンプルを入れてくれるので、場合によっては購買製品よりサンプルの方に満足する時もある。
2.企業の口コミマーケティング
オンラインの発達によって、企業のマーケティング手法も変化した。
化粧品産業は感性産業と言われるだけに消費者の感性を刺激して購買意欲を高める様々な手法が行われてきたが、その中で重要と言われているのが製品使用後の口コミである。多くの企業が発売前にブラインドテストを通じて製品を宣伝したり、様々な手段を通してオンライン広告を行っているが、無償で新製品を使用できることから人気を集めている。
化粧品の口コミには先ず化粧品専門口コミサイトに加入し、イベントの告知が出たら応募して書き込む方法がある。このような専門サイトは情報が豊富なので継続的な活動ができる。
2番目には各企業が募集するモニター募集に応募する方法がある。韓国では口コミが製品購入に大きな影響を及ぼすため、多くの企業がモニター募集に力を注いでいる。当然のことながら、有名ブランドのモニターは競争が激しい。
このように口コミマーケティングが注目を集めている中、韓国政府はネットカフェやブログ運営者が企業などから利益を受けて製品の推薦などをする場合は、その経済的な利害関係を明確にするなどの規制を発表した。さらに国税庁がオンラインで活動するパワーブロガーの実態把握と税務調査の旨を述べるなど、今後ネットの口コミサイトの活動が縮小されるのではないかという声も出ている。
吉田武史
吉田法務事務所代表、日本薬事法務学会理事長
東京理科大学薬学部在学中に行政書士国家試験に合格し、吉田法務事務所を開業。卒業後は薬剤師とのダブルライセンスで薬事許認可業務の代行申請、コンサルタント業をスタート。薬事専門の法務家として、国内外で活動中。今年8月には日本で初の薬事法専門の学会である「一般財団法人日本薬事法務学会」を設立。
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