第8回 注目を集める香港系ドラッグストア

 中国化粧品市場で百貨店、化粧品専門店に次ぐチャネルとして注目を集めているのが、薬局(ドラッグストア)です。薬局(ドラッグストア)チャネルでの化粧品販売を大別すると、①大型の高級薬局に店中店(ショップ イン ショップ)として出店して販売するケース、②香港系に代表されるドラッグストアに納入するケース、の2つがあります。

 ドラッグストアと言っても、中国には、日本の様に高度にチェーンストア化されたドラッグストア群があるわけではありませんが、現在、日本の一般品メーカーの販路として注目を集めているのが、②のケースです。チェーン展開する香港系ドラッグストアで有名な企業は「屈臣氏(WATSONS)」と「萬寧(MANNINGS)」、特に「屈臣氏(WATSONS)」は、多くの一般品メーカーが参入する際に販路とすることが多くなっています。

 「屈臣氏 (WATSONS)」 と 「萬寧 (MANNINGS)」 の概要は以下にまとめております。

表19.jpg

 香港系ドラッグストアとしてひとくくりにされがちな「屈臣氏(WATSONS)」と「萬寧(MANNINGS)」ですが、商品戦略に違いがあると思います。

 「屈臣氏(WATSONS)」は、化粧品や医薬品だけでなく、菓子や雑貨など、幅広い品揃えを図る戦略です。また、スケールメリットを活かしたPB品に注力しており、専門のOEMチームを編成し、広東省や浙江省などのOEMメーカーと提携しています。PB品は、消費者にとっては価格が安く、屈臣氏(WATSONS)にとっても利益率が高い魅力的なアイテムですが、PB品の比率を上げすぎるとイメージダウンにつながる恐れもあります。「屈臣氏 (WATSONS)」は、「香港発のファッショナブルな店舗」というイメージを保持しつつ、PB品の拡充を図ることが今後の課題になると思われます。

 一方、知名度や店舗数で劣る「萬寧(MANNINGS)」は、化粧品と医薬品にフォーカスした戦略です。化粧品では「屈臣氏(WATSONS)」にはないフランスや韓国のブランドを独自で輸入販売することで差別化を図り、医薬品では、業務提携先である上海薬房連鎖有限公司の経営資源を活用して品揃えを充実させています。

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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/china/

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