第5回 中国の百貨店化粧品カウンターに座って感じたこと

 化粧品販売に重要なのは「いかにして買ってくれそうな人に試供してもらうか」ということだと思います。化粧品は使用期間の長い商品です。消費者は新しい化粧品を買う際には多かれ少なかれ「もし肌に合わなければ約1カ月分の商品を無駄にしてしまう」という不安を感じます。試供はその不安を解消する一つの良い方法でしょう。

 化粧品試供の現場と言えば、何と言っても百貨店化粧品カウンターです。では、中国の百貨店では実際どのようなサービスが提供されているのでしょうか? その実情を知るため私は約20カ所のカウンターに座り美容部員の方々と実際に接してきました。今回はその中から気づいたことをご紹介したいと思います。

 出店コストの高い百貨店化粧品カウンターは、本来であれば商品だけでなくブランドの世界観やフィロソフィーを伝える場所として機能しなければなりません。しかし中国では、たとえ北京の最高級百貨店であってもそのレベルにはまだ至っていません。もちろんブランドごとに教育方針も異なりますし、美容部員個人の性格等にもよるのでしょうが、その平均値は日本と比較すると相当に低いと感じました。

 タッチアップをお願いしてもクリームをすくって私の手にのせるだけであったり、美容部員同士が輪になっておしゃべりをしていたり等、日本では考えられないような光景も目立ちますが、私が一番問題だと思ったのは商品説明がきちとできない美容部員が多いということです。そして、商品説明も無しにすぐに「セット」を勧められることもありました。確かに、中国では化粧水・美容液・クリーム等が一式セットになったものがよく売れます。それは、一つ一つ化粧品を吟味することができる人がまだ少ないということ、またラインで使った方が効果的だと思っている人が多いのが主な理由なのですが、価格が高いセットであればなおさら個々の商品説明が重要ではないでしょうか。

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北京の百貨店カウンター(左)と百貨店内のVIP用トリートメントルーム

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沖野真紀

中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役

定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。

http://blooms.jp.net/

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