中国での美容健康食品の販売チャネルは、伝統的チャネル、直販チャネル、新しいチャネル、会議営銷(宣伝講習販売)の4種類に分類することができます。伝統的チャネルとは、卸や代理を利用したチャネルで、スーパー、薬局、百貨店などを最終消費者との接触点とするチャネルです。
中国の旧正月などに贈り物として購入する場所としてはスーパーが強く、自分で服用するための美容健康食品を購入する場所としては薬局が強いです。直販とは、アムウェイなどが展開している訪問販売です。新しいチャネルとは、ネット通販やテレビ通販などを指します。
日本から進出したDHCなども、新しいチャネルを存分に利用して成功を収めています。宣伝講習販売は中国において近年注目されている販売形態で、中国語では会議営銷と呼んでいます。このような宣伝講習販売を専門的に行う業者も出てきています。
今回は、主要販売チャネルのうち、伝統的チャネルと直販チャネルについて見ていきたいと思います。
①伝統的チャネル
伝統的チャネルとは、一次、二次、三次と卸を通し、最終的にスーパー、薬局などの実店舗にて販売されるという、「長く、狭い」チャネルです。伝統的チャネルにおいては、商品の市場販売価格のコントロールが難しく、プロモーションを代理店に任せてしまう場合も多く、さらに、代金回収に伴うリスクも発生し、自社製品が具体的にどのように販売され、誰が購入しているのかといった重要な情報も得にくくなるという問題点があります。
加えて、近年の、最終販売店舗における入場料や棚代といった各種コストも高騰しており、多くの保健食品企業にとって、伝統的チャネルを維持することが簡単ではなくなってきています。これらのことから、大手プレイヤーでは、代理商や取次業者は利用していないケースも増えています。
特に、チェーンストア型店舗で設置される、1.4メートルの長さのカウンターを利用する、カウンターチャネルの開発に力を入れています。このカウンターチャネルを利用することによって、生産業者から直接的に消費者と交易することが可能になり、最終販売店舗は伝統的チャネルに分類されるチャネルでありながら、価格やプロモーションの管理が容易になり、キャッシュフローも改善でき、マーケット情報も直接入手することができるようにしています。
しかしながら、独自に全国の販売網を構築し、ブランド力を背景に有利な条件で最終店舗にて販売することは、資金力に欠ける多くの企業にできることではないため、伝統的チャネルを利用している中小企業は、新しいチャネルの開発を含めた対応を迫られています。
浅井潤司
(株)矢野経済研究所主席研究員
2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。
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