第22回 キャッシュ・フロー指標による分析

 日本においても、「キャッシュ・フロー経営」という言葉が叫ばれるようになって久しいですが、キャッシュ・フロー情報は各社の開示情報の中で欠かせないものになっています。現に、上場会社が公表している決算短信の中でも、キャッシュ・フロー計算書は勿論、その他複数のキャッシュ・フロー関連指標の開示が要請されています。

 決算短信での開示指標以外にもフリー・キャッシュ・フロー(Free-Cash-Flow、以下FCF)等、多く用いられるキャッシュ・フロー関連指標はあります。一般にフリー・キャッシュ・フローとは、企業が営業活動で稼得したキャッシュ・フローから、必要な投資活動によるキャッシュ・フローを控除した金額を言い、必要に応じて配当の支払や借金の返済等に充てられる、つまり資金の出し手である株主や債権者にとって自由になるキャッシュ・フローを指します。勿論、FCFが多ければ多いほど、資金創出能力は高いと判断されます。

 一方、キャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash-Conversion-Cycle、以下CCC)という指標にも近年注目が集まっているようです。

 CCCは、英語の意味の通り、どの程度の期間でキャッシュに転換・変換することができるか、つまり企業にとっての資金創出能力を示す指標です。一般的には、(棚卸資産回転期間)+(売上債権回転期間)-(仕入債務回転期間)という式で算出し、その期間が短ければ短いほどその能力が高いと言われます。

 当業界であれば、原材料を仕入れ、製品を製造し、それを一時的に在庫として保有した後、販売するというサイクルが一般的でしょう。以下の〈図1〉で示す通り、CCCが短いということは、仕入代金の決済から販売代金の回収までの期間が短いことを意味します。

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田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿等、幅広い業務を行う。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/

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