中国市場での販売を軌道に乗せるためには、日本での知名度が高い企業であっても、中国の消費者ニーズにあったブランドイメージを確立して、ブランド知名度を向上させる必要があります。そのためには、中国のメディア事情を理解した上でメディア戦略を立案することがポイントになります。
そこで、今回からは、中国のメディア事情について紹介していきたいと思います。第1回目は広告市場の動向です。
中国の広告市場規模(インターネット広告除く)は、中国のCTR市場研究によれば、GDP成長率を上回る成長率を見せています。2010年の中国広告市場は前年比116.1%の5890.69億元(1元=12.5円で計算すると約7兆3633億円)となっています。
電通が発表している「2010年 日本の広告費」におけるインターネット広告費を除いた広告市場規模が5兆680億円ですから、中国の広告費用が高騰していることが理解できると思います。中国内販を目指す消費財関連の企業は、中国主要メディアの枠を獲得するために多額の資金を投入し、激しい広告合戦を繰り広げています。
なお、2010年の広告市場のメディア別広告費は次の通りとなっています。
最も市場規模が大きいのが「テレビ」の4511.22億元(前年比11.0%増)、次いで「新聞」の800.99億元(前年比19.0%増)、「屋外」の272.28億元(前年比16.0%増)、「雑誌」の156.22億元(前年比19.0%増)、「ラジオ」の149.48億元(前年比33.0%増)となっています。テレビ広告が市場成長率を下回っているのは、2009年10月に政府が発表した「テレビ広告の放映に関する新規定(通称=61号令)」により、広告の放映時間や種別について規定を設けたためです。テレビ広告の枠が減少したことにより、消費財メーカーは、有望な枠を獲得するための競争を繰り広げています。
2010年広告費の業種TOP5を見ますと、1位が「化粧品・トイレタリー」の918.28億元(前年比20%増)、2位が「ビジネス&サービス」の760.24億元(前年比10.0%増)、3位が「飲料」の629.96億元(前年比19.0%増)、4位が「食品」の589.29億元(前年比0.5%減)、5位が「医薬品」の529.83億元(前年比5.0%増)となっています。
業種では「化粧品・トイレタリー」「飲料」が市場成長率を上回っており、化粧品・トイレタリー業界、飲料業界においては広告合戦の様相を呈していることが伺われる結果となっています。
浅井潤司
(株)矢野経済研究所主席研究員
2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。