スポーツの世界、特に野球やサッカーといったチームスポーツにおいてよく言われる言葉に、「あのチームは基本が徹底できているから強い」というものがあります。
今回は、この言葉の意味を考えてみたいと思います。
というのも、スポーツの場合、どんなチームであれ「試合に勝つ」ことを目標にしていますから、当然『基本』についてはそもそも徹底的に練習しているのが前提だと思うのです。
それにも関わらず、「基本が徹底できているから強い」という言葉が出てくるということは、我々が考えている以上に、『基本』というのは奥深いということではないでしょうか。
先日、プロ野球の巨人対ロッテ戦で、ライトゴロがありました。
ライトゴロというのは、内野を抜けてライトに飛んだ打球を、野手がファーストに送球して打者をアウトにしてしまうプレーです。
ロッテの攻撃で場面は2死満塁。打者はロッテ投手のグライシンガーということで、外野手は前進守備の体系をとっていました。
グライシンガーが1、2塁間を破る打球を打った瞬間、ロッテ側は大いに沸いたはずですが、ライトを守っていた長野が迷うことなくファーストに送球し、3アウトチェンジとなります。
「ライトゴロもたまにはあるんだね」位のこととして受け止めてしまいがちですが、私はこのプレーにプロの『基本』レベルの高さを感じました。
まず、巨人にとってのライトゴロが25年ぶりと報道されていましたが、そう考えると殆ど有り得ないプレーだということになります。
そして、この場面。満塁で1、2塁間を抜けたわけですから、常識的には一塁手はライトからホームへの送球を中継で受けるポジションをとることになります。
つまり、ファーストベースのカバーには入らない場面です。
それにも関わらず、このライトゴロが成立したのは、この殆ど有り得ないプレーであっても想定して練習していたということに他なりません。
だからこそ、打球が飛んだ瞬間に野手陣が阿吽の呼吸で、通常とは異なるプレーを選択できるということなのだと思います。
このプレーを見ながら感じたことは、「基本が徹底できているから強い」というのは、誰もが『基本』として捉えていることを指しているのではない、ということです。
川原慎也
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
1998年船井総合研究所入社。1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業種業態を問わずに戦略実行コンサルティングを展開するという同社では異色の経験を持つ。「視点を変えて、行動を変える」をコンセプトに、戦略策定段階では「お客さまとの約束は何か」→「約束を果たすためにやるべき仕事は何か」を考え抜こう、計画策定段階では「計画が頓挫する可能性の対処策」を考え抜こう、実行段階では「勝たなきゃ組織一体化しない」から“勝ち”を積み重ねる階段を考え抜こう、と経験に裏打ちされた“視点”への刺激が散りばめられる。最近は、「営業戦略の落としどころは営業マンの行動配分」「断れない提案」「新規開拓一点集中」、等の“視点”の提案を始めている。
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