第9回 「団購」の盛衰から学ぶこと

 先号までご紹介していた「SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)」は中国ネット社会で人気上昇中のウェブサービスです。

 今回は、逆にちょっと前まですごい人気だったのに......と言われるウェブサービス「団購」についてお話ししたいと思います。日本では「グルーポン」でおなじみの共同購入サイトのことです。2010年頃から中国でも始まり、1年間で急速に広まりました。

 たいていの商品が5~8割引きで購入できるこのサービスに、ネットユーザーたちは飛びつきました。物価の上昇も引金になったようですが、取扱う商品も多種多様。食品から家電、生活用品、化粧品、コンサートチケット、レストランの食事券、マンションや車まで、団購なら何でも安く手に入るという風潮でした。

 このブームに乗じて、次から次へと団購のサイトが乱立しました。ピーク時には6000以上の団購サイトが存在したと言われています。日本では、提供画像と実物の違いで問題になった例のおせち騒動が起こる前がピークで、サイト数は190前後ということですから、中国での加熱ぶりがよくわかります。

 しかし、現在はサイト数も1/3以下まで減少しています。中国ネットワークインフォメーションセンター(CNNIC)が報告した「2011年の中国の共同購入サービス利用者調査レポート」によりますと団購サイト利用者の約45.6%が購入した物に対して不満があると回答しています。

 不満の内容は、「品質が悪い」「虚偽の商品情報」「店員の対応の悪さ」「配達が遅い」など、ビジネスモデルはまねて外側は即席で作ったけど、肝心の商品の品質やサービスは、きちんと準備できていなかったということでしょうか。

 初めは安さにつられて利用したユーザーも「安かろう悪かろう」では離れて行ってしまいます。また、激しい割引合戦の中で資本力のないサイトは撤退せざるを得なくなったのも大きな一因です。結局、有名なポータルサイトやSNSの運営する団購サイトが生き残り、取扱う商品も、外食・レジャー関連・スパやエステなどの割引き券やクーポンが大半を占めるようになりました。

 すっかりブームの去った団購ですが、中国の若いネットユーザーたちはしっかり利用しているようです。

第9回斉さんコラム写真1.jpg

(今も人気の高い団購サイト)

 LAFASO本社の若いスタッフが教えてくれました。デートに行く前には必ず団購サイトをチェックするそうです。映画のチケット取り、おしゃれなフランス料理のディナーの割引券、カラオケのクーポンも利用する地域や、扱う商品(サービス)によって、使う団購サイトをちゃんと区別しているというのです。もちろんそのあたりの情報もSNSでちゃんと収集しているそうです。

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斉晶岩(サイ ショウガン)

LAFASO JAPAN 代表取締役社長

北京第ニ外国語学校日本語学科卒業 日立グループ日立製作所東京本社国際電力営業本部所属 イギリスバーミンガムにて英国経営管理修士(MBA)取得 2011年LAFASOの日本法人LAFASO JAPAN設立 母親は日本人。赴任先でもあった瀬戸内の景色と魚料理をこよなく愛す。

http://lafasojapan.co.jp/

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