第39回 日系ドラッグストアの中国展開①

【週刊粧業2013年5月20日号4面にて掲載】

 中国では医薬品の販売規制が厳しいため、日本のドラッグストア業界では、中国進出に慎重な企業が大半でしたが、近年、今後の市場の成長と規制の緩和を見込んで、中国で事業を展開する日本のドラッグストアが増加しています。

 前述した通り、中国では医薬品の販売規制が厳しいため、いずれも「薬のないドラッグストア」として出店しており、とくに日本の化粧品のウェイトが高いことが最大の特徴ですが、各社とも将来的には日本型ドラッグストアの本格的な展開を志向しています。

 そこで、今回と次回は、日系ドラッグストアの中国展開についてご紹介したいと思います。第1回目である今回は上海に出店しているココカラファイン、富士薬品、ウエルシアホールディングスの3社の動向を紹介します。

1.ココカラファイン

 同社は2010年8月に上海の中堅ドラッグストアと合弁で2店舗を開設した経緯がありますが、合弁は約1年で解消されました。現在は、単独資本の現地法人を立ち上げ、2012年5月、中国上海市に1号店「cocokaraメトロ5番街店」をオープンさせ、中国市場へ再進出を果たしました。

 「cocokaraメトロ5番街店」は地下鉄徐家匯駅直結のショッピングセンター内にあり、同社が以前に合弁で店舗をオープンさせていた「ドラッグセガミ」と同じ場所にあります。約180平米の店舗では、日本から輸入した化粧品、日系メーカーが中国で現地生産している化粧品や衛生雑貨などを中心に販売していますが、「ドラッグセガミ」時代の店舗と比較すると、より日本ブランドの商品にフォーカスした品揃えになっているようです。同社は今後3年間で上海市周辺に20店舗を開業する計画で、2014年3月期に30億円の売上高を目指しています。

 さらに、2013年3月、中国の医薬品流通大手の遼寧成大集団、伊藤忠商事、アルフレッサホールディングスと合弁会社を設立して、中国東北地方でドラッグストアを展開する計画を打ち出しています。遼寧成大の子会社で薬局を経営している成大方円医薬連鎖が運営の主体となり、同社が運営指導、伊藤忠商事とアルフレッサホールディングスが商品供給を担うビジネスモデルを採用、2013年に5店舗の出店を目指しています。

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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/china/

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