【週刊粧業2014年9月1日号5面にて掲載】
アジアでは、地域や国によってビジネス習慣、消費嗜好、流通構造も全く異なります。
日本をはじめとする外資系メーカーが最も困るのが、流通網が日本と違うということです。とりわけ外資系メーカーが進出する際に戸惑うのが、伝統的小売業比率の高さです。
●ASEAN5カ国の伝統的小売業比率
アジアの中でも注目度の高いASEAN5カ国(インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア)の流通ルート別市場規模は以下のとおりです。
「組織小売業(GMS・SM・HMなど)」が25.5%で最も大きく、ついで「ドラッグストア(薬局)・化粧品専門店」の24.7%、「無店舗販売(通販・訪販など)」の20.1%です。ASEANでは通販インフラが未発達のため、「無店舗販売(通販・訪販など)」のほとんどは訪販となっています。また、ASEAN5カ国の特徴として、小規模で経営が近代化されていない、日本で言う所謂『パパママストア』『屋台』に似た業態である「伝統的小売業」の比率が高いことがあげられます。
5カ国の中でも、インドネシア、フィリピン、ベトナムにおいて「伝統的小売業」の比率が高く、ベトナムにおいては最も大きい流通ルートとなっているため、この3カ国では、「伝統的小売業」へのアプローチが必須です。インドネシアでは「ワルン」と呼ばれる屋台や「キオス」と呼ばれる雑貨店兼ホールセラー、フィリピンでは「サリサリ」と呼ばれる雑貨店兼ホールセラー、ベトナムでは「チョー」と呼ばれる市場などがその代表的存在です。
浅井潤司
(株)矢野経済研究所主席研究員
2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。
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