第12回 最近の不正トレンド

【週刊粧業2015年4月6日号5面にて掲載】

 今回は、平成22年から平成26年までの国内上場企業による不正事例の発生トレンドについてご紹介します。

 企業内の横領等の不正は、日常的に全国各地で発生しています。しかし、国内の大半の企業は非上場企業であるため、仮に不正が起きた場合であっても、そもそもそれらが対外的に公表されることはありません。

 しかし、株主や投資家を始めとする多くのステークホルダーに対する説明責任を有する上場企業は、不正が発生した場合に東証の適時開示やその他書類等を通じてこれを公表する義務があります。

 今回は、これらの公表された事例に基づき、ここ数年間でどのような不正事例が発生しているのかを様々な角度で分析してみたいと思います。

 まず業種別の分析ですが、【表1】の通り、サービス業、卸売業、情報・通信業、小売業等での事例が目立っています。



 人材派遣、コンサルティング、教育、介護等の様々な業務を提供するサービス業及び情報・通信業では一般的なメーカーとは異なり製品現物を扱わないため、ビジネスの実態が目に見えづらい事を逆手にとった不正が多く見受けられます。

 また、卸売業は多くは商品現物を扱う会社ですが、他から仕入れて他に販売する、という仲介業務の中で仕入先や販売先と結託する不正事例や、複雑な商流の中に紛れて商品を横領する、といった事例が見受けられます。また、デパート、ドラッグ、コンビニ等の小売業では、在庫の管理数量の改ざんを通じた横領着服や不正経理、仕入れ先と結託しての不正等が見受けられます。

続きを読むには無料会員登録が必要です

  • PC、スマホからいつでも
  • WEBでかんたん記事検索
  • 化粧品業界の優良記事を
    お届け
この記事のお問い合わせはこちら

田中計士

新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー

2000年、監査法人太田昭和センチュリー(現新日本有限責任監査法人)に入所後、化粧品、食品、宝飾品などの消費者製品メーカーを中心とした監査業務に従事。その他、株式公開支援業務、内部統制アドバイザリー、デューデリジェンス、経理財務専門誌への寄稿、セミナー講師等、幅広い業務を行う。

http://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/industries/basic/cosmetics-and-toiletries/

一覧に戻る
ホーム > 連載コラム > 第12回 最近の不正トレンド

ライブラリ・無料
ダウンロードコーナー

刊行物紹介

定期購読はこちら
お仕事紹介ナビ

アクセスランキング

  • 日間
  • 週間
  • 月間
PDF版 ダウンロード販売
化粧品マーケティング情報
調査レポート
株式会社矢野経済研究所
pagetop