第10回 指定商品「化粧品」で保護できない化粧品のお話

【週刊粧業2016年5月23日号6面にて掲載】

 商標権は、商標(マーク)と指定商品・役務(商品やサービス)という二つの要素によって権利範囲が決まってきます。この指定商品・役務というのが曲者で、ちょっと調べたくらいだと適切な権利範囲を確保することができないので専門性が必要となるところでもあり、我々弁理士の腕の見せ所であるとも言われてます。

 一例を見てみましょう。通常、化粧品関係の商品を取り扱っていらっしゃる企業様であれば、第3類の「化粧品」という指定商品表示を記載すればよいと思いがちではないでしょうか。しかし、実際には一般に化粧品と呼ばれているものでも「化粧品」という指定商品表示では保護できないものも少なくないのです。

 たとえば、「ベビーオイル」は「化粧品」の範囲内に含まれますが、「薬用ベビーオイル」は第5類の「薬剤」の仲間であるとされているので、「化粧品」と指定しただけでは保護されないのです。

 また、化粧の際に欠かすことのできない「化粧用綿棒」などは同じ第3類ではありますが、「化粧品」と指定しただけではカバーされない範囲となっています。さらに、「化粧用具」となると第21類という別の区分になって参ります。

 こうした指定商品・役務を取り巻く複雑さは化粧品の世界に限ったものではありません。「シャンプー」と「ヘアーリンス」は常にセットというイメージがありますが、「シャンプー」は「せっけん類」の、「ヘアーリンス」は「化粧品」の仲間であるとされ、別のグループとして取り扱われています。ただし、常にセットで使用されるのは事実なので、例外的に「シャンプー」と「ヘアーリンス」は類似するものと推定されたりします。実に奥が深いですね。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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