第29回 派生ブランドの商標使用や登録商標の変更使用の注意点

【週刊粧業2018年2月19日号6面にて掲載】

 貴社商品「XYZ」がヒットしたとしましょう。売り上げも順調なので、「XYZ 〇〇」という派生ブランドを作ることにしました。

 商品名「XYZ」に関しては商標登録してあるから、派生ブランドについての商標登録は不要でしょうか。それとも、必要でしょうか。

 今回はそのあたりのお話をしたいと思います。

 大原則としては、登録商標と使用する商標は同一であるのがベストです。類似範囲だと思って使用していたら他社商標権の侵害になっていた、という事態を防ぐためです。

 先述の例でいえば、派生ブランド名「XYZ 〇〇」は、「XYZ」とは非類似の他社商標「XYZ 〇△」と類似するかもしれないわけです。

 それでは、登録商標の変更使用の場合はどうでしょうか。商標は生き物ですから、時代の変遷と共に変化していくことが多いものです。同じ「XYZ」という商標であっても、Aというデザインで登録したものをそれとは大きく異なるBというデザインで使っている場合、どのようなリスクがあるでしょうか。

 この点、継続して3年以上日本国内において登録商標を使用していない場合、不使用取消審判によって取り消されてしまうリスクがあります。いわゆる「社会通念上同一」の範囲で使用実績があればよいのですが、この同一性の判断は皆さまが思っている以上に厳しいものです。この意味でも、大原則としては、登録商標と使用する商標は同一であるのがベストなのです。

 もちろん、これらの弊害を避けるのであれば、派生ブランドごとに、もしくは、デザイン変更するごとに商標登録すればよいわけです。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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