第96回 腹筋女子の満足感

【週刊粧業2019年3月11日号14面にて掲載】

 バーゲンで安く手に入れる、ネットのタイムセールがお得だから手に入れるというのは、本来のファッションを楽しむということとは違ってきていると感じていましたが、最近、ここに、体形カバーのファッションというジャンルが加わって、益々、ファッションに対して気持ちが萎えていくのを止めることができません。

 一方で、若い女性の間で、身体を鍛えることで、筋肉のついた美ボディを目指すことがブームになっています。中でも、彼女たちに大人気のクロスフィットトレーナーAYAさんは、シックスパックに割れた美しい腹筋の持ち主で、著名人のボディプロデュースを手掛ける傍ら、フィットネスモデルとしても活躍しています。

 AYAさんの推奨するクロスフィットトレーニングとは、日常生活の、立つ、座る、運ぶ、持ち上げるといった動きの中から、使える身体、動かせる筋肉をつくるためのトレーニングで、ボディビルダーのようにきついウェイトトレーニングでつくるボディとは一線を画す、自分自身のための、日常の筋肉をつくることが目的であることも共感を呼んでいます。

 シックスパックといえば、サッカーのクリスティアーノ・ロナウド選手をイメージする方も多いと思いますが、彼もまた、広告では見せるために腹筋を披露していますが、本来は、超一流の選手でいる自分自身のために筋肉をつくっています。

 かつては、女子は眺めているだけでよかったと思いますが、今、自らシックスパックを目指す女子たちは、自分のためにカラダからちゃんと整えたいと本気で願っています。だらしないカラダの人は、ココロもだらしない。まして、ファッションを着こなすためには、カラダがたるんでいてはダメだということに気づいている女性たちだからです。

 体形カバーのためのファッションは美しくないと知っているから、彼女たちはストイックに自分と向き合って努力します。

 最近、「筋肉は裏切らない」という言葉が良く使われていますが、やったことに対する結果が目に見え、それが美しいとなれば、自分に自信が持てる、すなわち、努力は報われるという精神的な満足が、外見プラス内面からも女性を輝かせてくれるのだと思います。

 女性アスリートが結果を出すたびに、美しさに磨きがかかっていく様子に目を見張ることがありますが、若い女性たちが、自信を持って仕事ができるようになるためにも、今、ココロとカラダに効く筋肉が必要なのではないでしょうか。

 ここ数年、ゆるっとした、オーバーサイズの服がトレンドとされてきましたが、このトレンドに乗じて手抜きしてしまった女性が多いのも事実。2020年オリンピックに向けて、自身のカラダを意識する機会と捕らえ、腹筋女子たちが満足できる、見せるためではないけれど、隠すことを考えない、素敵なファッションが主役になることを期待しています。
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中村浩子

(株)ヴィーナスプロジェクト代表取締役社長

「JJ」「VERY」等ファッション誌の編集・企画を手がけ、黒田知永子や三浦りさ子等、その時代を代表するタレントをプロデュースし、トレンドを生み出してきた。 現在まで読者モデルを1万人以上発掘しており、現在は女性消費者を取材し続けてきたノウハウを活かし、ファッション・アクセサリー・ビューティに関わる商品開発やイベントを企画、ブランドプロデュース、コンサルティングまで幅広く行っている。

http://www.venus-project.jp/pro/02.html

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