【週刊粧業2018年7月16日号4面にて掲載】
施策を実行に移す際、その目的を明確にしているでしょうか?よく見かけるのが、目的を明確にせず、施策そのものの打ち合わせに時間を費やしている光景です。
目的を明確にせずに打ち合わせを行っていると、次第に各自の思惑が入り込み、あれもこれもと叶えたいというゴールが増え、施策そのものの効果が半減してしまいます。逆に、目的を明確にすれば、達成したいゴールに不要な事柄は今回の施策から外すという決断が容易にできます。
そこで、必ず、何のために、その施策を行うのか?達成したいゴールは何かという目的を明確にすることが大切です。
通販企業A社は、お客様との関係性を重視することを目的に、コールセンター業務は外部に委託せず、自社で行っています。しかし、かかってくる電話の内容は、注文方法に関する問い合わせやクレームばかりでお客様とコミュニケーションを行うという本来の目的が次第に忘れ去られ、クレーム対応等に翻弄されていました。お客様とのコミュニケーション強化という目的が明確に共有されていれば、その目的が果たされているか否かという振り返りを行い、できていなければ改善へとスムーズに行うことができたでしょう。
化粧品通販企業B社は、お客様を知ることを目的にアンケートを実施しました。そのため商品に関する内容だけではなく、お肌のケアや気になる点、物事に関する価値観を確認するような質問項目にしました。しかし、アンケートを集計しているうちに、集計することが目的となり、返ってきた内容からお客様を想像することや、どのような情報を求めているのかなどを考えるに至りませんでした。
通販会社C社は、広告のクリエイティブテストを数多く行い、自社にとっての勝ちパターンとなる広告を見つけました。しかし、勝ちパターンとなる広告クリエイティブを見つけた後もクリエイティブテストを繰り返し行い、なかなか拡大に至りませんでした。
一方、通販会社D社は、お客様が商品についてどのように思っているのかを知ることを目的に、優良客50~60人ほどに電話をかけヒアリングを行い商品に関する感想や、使用実感など、具体的な声を聞くことに成功しました。
目的を明確にすることで、スムーズな実行と活用に繋げていくことができます。施策の打ち合わせ時間に停滞ムードが流れたり、実行に移せど、何か具体的な成果が見えなかったという場合は、目的が曖昧になっている可能性があります。必ず目的を明確にするということからはじめてみてはいかがでしょうか。