【週刊粧業2014年4月7日号4面にて掲載】
●急成長する韓流化粧品
韓国系メーカー上位5社(アモレーパシフィック、LG生活健康、ミシャ、ザフェイスショップ、スキンフード)の2012年の中国市場での売上高は前年比34.9%増の30億2200万元と大きく成長しています。現状では5社合計しても資生堂の中国売上高に足元は及ばない状態ですが、今後注意深く推移を見ていく必要があると思います。
また、OEMメーカーの中国進出も盛んになっています。2004年に進出したコスマックスは2004年に稼動した上海工場に続き、2011年には広州新工場を稼動させています。
また、日本コルマーのグループ企業でもある韓国コルマーは、2007年に稼動した北京工場に続き、広州にも工場を着工する計画です。さらに、2012年には、自社ブランドで中国展開を図っていたコリアナ化粧品も、中国でのOEM事業を開始しています。
●韓流化粧品が広がる背景
中国で存在感を増す韓流化粧品ですが、その背景にはどういった要因があるのでしょうか。参入メーカーの努力はもちろんですが、韓国政府の支援が大きいと思います。
韓国政府は、2000年代初めより、付加価値の高い化粧品の輸出に取り組んできました。放映権料を安く設定した韓流ドラマを販売することによって韓国化粧品メーカーのスターマーケティングを可能にしましたし、輸出奨励策としての金銭面の支援も行いました。
これら支援の結果、韓国の化粧品輸出額はこの3年間で平均30%の伸びを続け、2012年は10億7000万USドルに達しました。
さらに、韓国政府は、2020年に化粧品輸出額を60億USドルにすべく、原材料研究や効果の評価などの支援のほか、2016年までに輸出専門人材400名、GMP管理者2000名を育成する計画を発表しています。
●産学官が一体となって日本製化粧品の輸出拡大を
一方、日本の化粧品輸出はどうでしょうか。日本の化粧品は高付加価値で、アジア地域でのブランド力や信頼性が群を抜いて高い一方で、輸出は工場出荷ベース全体の8%程度に過ぎないのが現状です。
また、海外需要の取り込みを行っているのは大手メーカーが中心であり、企業規模の大小問わず全体的に高いレベルにあるという日本の化粧品産業の強みが十分生かしきれていない状況です。
成熟化する日本の化粧品産業の更なる発展には、大手メーカーに加え、中小メーカーや関連産業においてもアジアの成長する需要を確保することで、日本国内生産の維持や雇用を創出することが必要なのではないでしょうか。そして、日本製化粧品の輸出拡大向け、化粧品業界、政府や地方自治体、大学等の研究機関が一体となって日本製化粧品の輸出拡大を図っていくべきだと思います。
さて、今回で50回目を迎える「中国美容マーケットニュース」は今回をもちまして終了させて頂きます。次回より「中国美容マーケットニュース」は、中国だけでなく、韓国、台湾、ASEANなどアジア全体を対象にしたコラム「アジア美容マーケットニュース」としてリニューアルします。今後とも、よろしくお願い申し上げます。