第10回 インドネシアのムスリム向け化粧品の動向

【週刊粧業2015年2月2日号5面にて掲載】

 インドネシアでは、ムスリム(イスラム教徒)女性の間でハラールに対する認識が高まり、中間層の増加の増加につれ、ハラール化粧品を求める女性も多くなっています。

 ハラール化粧品とは、豚肉、アルコール、その他の非ハラールものが含まれないことはもちろん、水銀やハイドロキノンなど体に悪い影響与える成分も含まない、つまりハラール(許される)、安心、安全とされる原材料で作られた、ハラール認証を取得している化粧品のことです。

 とくに化粧品やスキンケア製品によく使用される原料(グリセリン、グリセロール、脂肪酸、ステアリン酸、ゼラチン、ヘパリン・ナトリウム、コラーゲン、プラセンタ、ビタミンなど)にはハラーム(イスラム教で禁止)由来のものが含まれていないか、メーカーは注意する必要があります。

 インドネシアのムスリム女性にとって馴染み深い、ハラール化粧品ブランド「Wardah(ワルダー)」は、創立者のNurhayati Subakat氏がホームビジネスとしてシャンプーの製造販売を始めたことが起源とされます。

 1985年に、同氏はPT Paragon Technology and Innovation社を設立、1995年にはハラール化粧品のコンセプトブランドである「Wardah」を開発しました。そして、1999年、「Wardah」の化粧品はインドネシアウラマ評議会からハラール認証を取得しました。これは国内の化粧品としては初のハラール認証であります。

 現在、Paragon Technology and Innovation社は、国内大手化粧品メーカーの一つに成長しています。「Wardah」の製品開発担当のAlif Kartika氏によると、同社製品の売上はこの5年間で毎年80%前後の成長を示しているそうです。

 「Wardah」の化粧品やスキンケア製品は20代から40代女性、中でも世帯収入が300万ルピア以上の社会人、主婦、最近化粧をし始めた大学生等をターゲットとしています。1万5000ルピア(約125円)のリップクリームから60万ルピアのメイクアップキットまで、約239種類のスキンケア製品、化粧品、パーソナルケア製品などの品揃えがあります。

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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

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