【週刊粧業2017年12月11日号11面にて掲載】
今回取り上げるキーワードは『ミレニアル世代』です。
■ミレニアル世代とは
ミレニアル世代とは一般に、1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代、または2000年代に成人・社会人になる世代を指します。同世代は世界人口の約3割を占め、世代別では最大ボリュームを形成していることから、今後の有力な市場として注目を浴びています。
同世代の特徴のひとつとして挙げられるのが、生まれたときからデジタルメディア(インターネットや携帯電話、SNSなど)に慣れ親しんでいるという点(デジタルネイティブ)です。
また、そのほかの特徴として、脱ブランド志向(本質的に良いものを求める傾向)やコスパ(倹約)志向、エシカル志向(環境配慮や社会貢献に対する意識が高い)、自己顕示欲が強い反面つながり志向(仲間との関係性を大切にする)を有している点もよく指摘されています。
■化粧品企業の動向
化粧品市場においても近年、こうしたミレニアル世代を取り込もうと主要各社は相次いで新商品を投入しています。
例えば、日本ロレアルは2016年に「ランコム」から化粧水と美容乳液の2ステップからなる「イナジェトリートメント」を導入しています。また、ディオールはスキンケアのファーストステップとして、2017年より「ディオールライフ」を展開しています。
さらに、資生堂は2017年10月に「WASO」を、同年11月には「レシピスト」を発売しています。どちらのブランドも20代前半の女性をコアターゲットにしており、自然素材を中心に配合しています。
このほか、コーセーが手掛ける「アディクション」はミレニアル世代をターゲットにしたものではありませんが、2009年の発売以来、同世代から絶大な支持を得ています。
では、これらの化粧品の主な特徴や共通点とは何でしょうか?
まず商品面では、同世代の脱ブランド志向やコスパ志向に対応するべく、比較的手頃な価格でシンプルなお手入れでありながら、自然素材にこだわり、高品質でしっかり効果実感が得られる点を謳ったものが多くみられます。また、自分らしさを表現できるカラーバリエーションや、自分に合った商品を組み合わせて選ぶことができる楽しさなども重視されています。
一方、販売面では商品の認知拡大から購入、そのあとの共有(シェア)に至るまでデジタル(ネットやSNSなど)を軸に行われています。また、インスタ映えする体験イベントなど、モノとコトを一緒に売るような販促も見逃せません。これらの取り組みは近年、若年層の獲得に大きく寄与しています。
化粧品市場ではまだまだシニア世代への関心が高いですが、ミレニアル世代の市場が今後新たな潮流として確立するか注目です。