【週刊粧業2015年10月5日14面にて掲載】
10月末日までミラノ万博が「食」をテーマに開催中ですが、この「食」を現代の美のトレンドの観点で取り上げていきたいと思います。
先般の国際展示場で行われたダイエット&ビューティーを見学しましたが、全体を通じて、「水素」や「酵素」といった代謝を上げたり、血行や巡りをよくする点に着目したラインナップが例年に増して多かったように思います。
最近も女性誌では、「水素で美活」「ファスティング美容」なるキャッチやタイトルが女性誌の誌面を飾る機会が増えてきました。「ジュースクレンズ」といったアイテムも、美容知識に詳しいオピニオンリーダーだけでなく、一般女性にも広く知られるようになってきました。
今、インナービューティーが新たな局面に来ているように思います。先日、夏季休暇でニューヨークに行ってきましたが、「ジュースクレンズ」「デトックス」といった美容トレンドはこちらが本場です。もともと、日本にも「断食」「解毒」などの概念はありましたが、現在のようにここまで一般的に浸透したのは、健康習慣をファッショナブルにトレンドとして発信していったからこそ。
先日訪れた際も、オフィス街は「青汁バー」「ジュースバー」の軒数やスーパーに並ぶ同アイテムの種類が、昨年訪れた時よりも一気に増えていました。
NYも日本もこれまでと違うのは、「何を食べるか?」「何を採るか」という身体に「入れる」行為よりも「クレンジングする(洗浄する)」「デトックスする」といった「身体から出す」ことに注力している点です。
「出す」美容メソッドが充実している背景には、先進国が飽食時代に突入した故に、肥満、疲労等様々な健康問題が深刻化している表れといえるでしょう。「1日1食健康法」なる書籍がヒットするのも、単に「カロリー削減」「食べる量を減らす」といった従来のダイエット観点ではなく、人間が本来持っている「毒素排出力」を高め、代謝を上げていくためのものです。
高齢化を迎えた現代において、女性に限らず男性も「現役時代」がどんどん長引いてきています。見た目の若々しさを求める人も多くなります。長く生きていけば、当然「不要物」「毒素」も溜まっていきます。
病気のリスクも高まることもあり、「栄養を採る」ことよりも、美味しいものを食べるという楽しい欲求を満たしながらも、長年蓄積された「毒素」は出したいというニーズは高まり、「老廃物」を「しっかり排出させる」為のメソッドはまだまだ過熱していくのではないでしょうか。