第17回 通販コスメの無料サンプルへの成熟した消費者の目線とは

【週刊粧業2016年2月1日号4面にて掲載】

 新たな年を迎え、通販化粧品業界でも新製品も続々とリリースされる時期かと思います。

 弊社で通販化粧品の無料サンプルについてのイメージ調査を1606名の女性に行ったところ表のような結果となりました。まず、1番多い回答が「購入前に試せるので安心、お得」(28.7%)、2番目が「後々、DMやメール、電話での勧誘が嫌」(14.3%)。次いで、「1回分(少量)では、効果が分からない」(11.5%)が3番目に多いという結果でした。

 無料サンプルに好意的な意見としては、「口紅の色を決める時にとても役に立つ」(34歳・会社員)、「自分の肌に合うか分かってから買えるからとても良い。最近では、逆に合うか分からないものを高い値段でサンプルとして出している企業の方が悪質」(46歳・専業主婦)といった具体的な声もありました。それなりに「無料」への意義を感じている人は少なくないようです。

 一方、無料サンプルにネガティブな印象を持つ人も一定量いるのも事実です。「タダより怖いものはない」(43歳・会社員)、「結局、後で勧誘され購入させられることを思うとサンプルが無料でも企業は元をとれるのでは」(38歳・専業主婦)といった先読み的な消費者も最近は増えてきたように思います。

 また、3番目に多かった「少量のサンプルでは効果が実感できない」の中には、「1回分のサンプルは使用感を試すもの、2週間分の量のものは効果実感を試すもの」(46歳・専業主婦)といった声が異口同音に多いのも印象的でした。

 私達も普段、美容クリニック等に化粧品テスターやサンプルをご提供していますが、お客様はパウチのサンプルでは主に使用感や同封のチラシでブランド情報を知るのに役立て、設置のボトルのテスターでは、何度か試した結果、「肌が変わった」と購入の問合せをいただく事が多い等、役割が分かれているように感じます。

 無料サンプルは新規顧客接点の有効なツールの一つといえますが、その一方で、通販という店舗を介さない業態である以上、通販ゆえの必要な販促システムが選択眼の養われつつある消費者に与える影響も決して小さくはなく、ブランディングに直結することから慎重かつ個性的な施策がますます問われていることは言うまでもありません。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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