第28回 「即時性」「拡散性」「本質性」の三位一体のPRこそが重要な時代に

【週刊粧業2017年2月27日号18面にて掲載】

 今や化粧品ブランドのPRに媒体、美容編集者、ライターといった「プロフェッショナル」と同時に、ブロガー、インスタグラマーなどインフルエンサーとの接点を設けているブランドも少なくないかと思います。

 そんな中で、時折受ける質問の一つに、「美容家・編集者・ライターなど『美容業界のプロ』と拡散力のあるインスタグラマーなど『一般消費者』のどちらにも情報をリーチさせたいが、どちらに比重を置くべきか?」というのがあります。

 昨今は、SNSでフォロアー数を多く抱える一般消費者も存在することから、いわゆる「美容のプロ」と「一般消費者」との接点の設け具合のバランス、予算や時間のかけどころも各ブランドで広報スタンスはまちまちのようです。

 また、最近では、SNSユーザーの中でも美容ライターの肩書を持つ人も増え、一般消費者と美容ライターと呼ばれる人の境界線や違いが曖昧になりつつあるのも事実です。そうした背景において、いかに効果的なキーパーソンに情報を到達させるか? にブランド広報力が益々問われてきているように思います。

 最近、メジャーなスタイルになっているのが、同じ新製品商材でも、発売日の2~3カ月前と比較的早い時期に編集者、美容家、ジャーナリストなど「美容のプロ」向けの発表会を行い、発売日直前の時期に、発信力や伝播力があるブロガー・インスタグラマーなど「一般消費者」向けの体験会やお披露目イベントを開催するやり方です。

 主に美容雑誌や女性誌など紙媒体の企画特集を担当し、専門知識を持った「美容のプロ」とSNS投稿を通じて発信力や拡散力を持つ「一般消費者」。一見、「アナログ」と「デジタル」の対比に見えますが、いわば「プロ目線」と「ファン目線」。それぞれ果たす目的が違うので、バランスよく配分して施策を打つことで、広く濃く情報のリーチができるとも言えます。

 いかに早く情報をアップするかといったインスタグラム投稿の「即時性」は今の時代に必須ですし、関心ある層に情報を広く到達させる「拡散性」もキーとなってきますので、フォロアー数やアクセス数を持つユーザーへの接点も今の美容PRには欠かせません。

 そして、これからの時代、特に重要になってくるのが情報の「本質性」ではないかと思います。誰もが手軽にSNSで記事を執筆し公開できる時代だからこそ、長い目で見たときに、化粧品の学術や美容の基礎知識を有する美容ジャーナリスト等の審美眼による記事はこれからさらに必要になってくるのではないかと思います。

 「即時性」「拡散性」「本質性」の三位一体のバランスあるPRが問われている時代ともいえるでしょう。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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