第29回 「購入」「体感」「学び」を繰り返してこそ、「ファン化」は定着する

【週刊粧業2017年3月27日号5面にて掲載】

 弊社への相談案件で、認知度向上などPRの次に最近多いのが、リアル店舗への新規顧客の「集客」についてです。

 各ブランドともに、自社でサンプル、特典、値引きといった販促等の施策は試みるも、「ノベルティ、プレゼントなどその時々の販促の特典提供に乗じて、一時的な購入や会員登録には至っても、リピートにつながらない」という声はよく聞きます。

 継続して足を運んだり購入してくれる仕組みを作れないものかというものですが、手を尽くしたというブランドも少なくはないようです。

 一時的な来店者ではなく、「顧客」や「ファン」になるには、消費者はどういった心境のプロセスを辿るのでしょうか?

 実は、弊社の会員制美活サイト「コスメラウンジ」で来店者が「ファン化」する過程がわかった施策がありました。

 弊社の「コスメラウンジ」というサイトでは、以前であればメディアや有識者向けに催していた「新製品プレス発表会」の類を、美容に関心があり、発信層でもある会員メンバー向けに提供しています。

 あるブランドの直営店においては、サンプル配布とカウンセリング、若干の値引を行い、送客を促しました。その後、インフルエンサーであるメンバー達に、サンプルや購入した商品を試した感想をインスタグラムに投稿してもらい、その投稿者の一部が「新製品体感イベント」に応募できるという企画を実施しました。

 メンバーにとってのベネフィット(恩恵)は、「新製品体感会に参加できるという権利」のみです。

 巷で比較的多い店頭販促手法として「ブランド指定のハッシュタグを添付してSNS投稿してくれた人にプレゼントを用意する」という趣旨のものがありますが、この場合は全く逆で、SNS投稿をする人のモチベーションは「そのブランドをよく知る体感会に参加したいから」という、ただただ純粋な動機です。

 単に物をもらいたいがためにSNS投稿をしているわけではないのです。

 その結果、「誰もが参加できるわけではない」新製品体感会に「特別に選ばれた」という意識が強い層が自ずと集まるため、商品の詳しい情報やブランドストーリー等を学べる場は「ファン」が創られやすく、リピート顧客につながるという好循環が生まれます。

 大量の「一時的な顧客」ではなく、少数ではありますが「良質なリピーター顧客」を獲得したい時は、本当に関心の高い顧客を見極めるためにも、「試す」という機会を提供しブランドへの関与度が高まった上で「学ぶ」というステップを入れる施策も効果的ではないかと思います。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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