【週刊粧業2018年2月5日号12面にて掲載】
弊社では、会員制美活サイト「コスメラウンジ」のメンバーを集めて定期的に生の声を聴く座談会を開催していますが、先日は化粧品・美容関心層による「店頭での化粧品の購買行動」に関するグループインタビューを行いました。
お招きした出席者の年代は20代~50代と幅広く、今ドキのコスメ関心層の買い物事情や消費者心理をうかがい知ることができました。
出席者は、化粧品や美容への興味や関心が高いだけに、ほぼ全員が行きつけの百貨店化粧品カウンターがあるようでした。
美容関心層に限らず、店舗が発行するポイントカードの存在は女性にとって大きく、値引きやポイント還元などの「お得」という要素は踏まえている傾向です。
その中で、美容関心層の買い物行為として特徴的だったのは、行きつけの百貨店で「お得」に買い物をするのは大前提でありつつも、「ネット購入」と使い分けていることです。新製品のチェックを兼ねて店頭に定期的に通いながらも「いつも決まって使うアイテムはネットを利用する」という声も多く、出席者の大部分を占めました。
そのうち半分以上がアマゾンや楽天などのショッピングサイトではなく「ブランド公式サイト」を定期的に利用している点は、コスメ関心層ならではといえるでしょう。値引きや汎用性のあるポイント還元よりも好きなブランドのノベルティに交換できたほうが「特別感」を感じるようです。
この「特別感」を求める点こそが、コスメを積極的に買う層が持っている大きな特徴であると思います。出席者の一人は、「お金を出して買った自分だけが得られる特典が値引きでもよいが、通常は手に入れられない限定品などであったら満足度は数倍増す」と話し、またある人は、「多く購入すればするほど、特別なイベントに参加できるなどモノ以外の特別体験ができるのはかなりの魅力」と言います。
さらに、「新製品をいち早く試せるとかなり嬉しい」といったコスメ好きならではの興味深いコメントもありました。
モノであれ、コトであれ、特別に「優遇」されているグレードが高ければ高いほど価値を感じ、消費者の満足度が高くなり、そのブランドへの忠実度も高まるといえます。
ポイントカード等による値引きやポイント還元という仕組み化された「優遇」と同時に、前述のコメントのような既存顧客がより「特別だ」と感じる体験の提供も、時には有効なのかもしれません。
現在、販路を問わず新規顧客の獲得は大きな課題ではありますが、同時に、既存顧客の満足度を高め、ロイヤリティ維持のための施策に注力することも、成熟した市場においてはより重要となってくるでしょう。