第42回 「パーソナライズ美容」は消費者の心を掴めるか?

【週刊粧業2019年9月2日号4面にて掲載】

 最近、耳にすることも増えてきた「パーソナライズコスメ・ビューティ」という言葉。肌診断から自分に合うスキンケアを提案してくれたり、何万通りの組み合わせの中から自分の髪質に合うヘアケアを研究所から直送してくれたり……。「パーソナル美容」という概念は、美容業界の昨今の話題の1つともいえるでしょう。

 導入するブランドも増える中、肝心の消費者の意識はいかほどか。このほど、美容関心層である弊社コスメラウンジ会員に「パーソナライズ美容」に関するアンケート調査を行いました。

 まず、「パーソナライズコスメ」という言葉自体、消費者にどの程度浸透しているのでしょうか。調査では、「よく知っているし、詳しく説明できる」が全体の14%、「少し知っている。聞いたことがある」が52%、「知らない」が34%という結果でした。

 知識の差はあれど「知っている」層が半数以上占めているのは美容意識が高い消費者ゆえと推察します。

 また、実際にこのパーソナライズ美容を取り入れている人の割合は7%、「今は実践していないが、興味があるので今後実践してみたい」という人が53%という結果です。実践しているブランドは「資生堂オプチューン」「POLA APEX」などが挙げられました。

 「既製品を使用しているが『何か違う』とずっと感じていたので実は一刻も早く取り入れたいと考えていた」(50代)といった声もあるように、現在のところは「パーソナライズ美容」と接点がある人は多くないものの、製品やサービスに期待や関心を寄せる人は多いようです。

 一方で、「パーソナライズ美容」に関して挙げられたコメントで多かったのがコストへの懸念です。「効率的な美容法だとは思うが、いきなり月額などの契約システムだとすると気後れする」(40代)、「自分に合うものが一番だが、費用対効果が気になるところ」(30代)といった声も多く、費用負担の不安を効果が払拭できるかがパーソナライズ美容の浸透の鍵を握っている様相です。

 とはいうものの、「もっと詳しく知りたい。パーソナライズ美容の良さを体験してみたい」(30代)、「まだ取り入れているブランドが多くないので増えてきたら使い比べてみたい」(40代)といった期待を寄せる声が多いのも美容関心層ならではです。

 今後、ポップアップストアやイベントを通じて、体験機会やブランドの選択肢が増えることで、関心層による興味も広がると想定されます。

 まだまだ未知数な部分もあるパーソナライズ美容ですが、費用や効果実感への不安感などの課題がクリアされることで、市場の広がりの余地も見込めるといえるでしょう。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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