【週刊粧業2016年6月6日号4面にて掲載】
今回は業務用化粧品メーカーのアジア戦略についてご紹介したいと思います。
・資生堂
同社は「資生堂プロフェッショナル」ブランドと「ジョイコ」ブランドなどを中心としたマルチブランドで、中国、タイ、香港、台湾、マレーシア、シンガポール、インドネシアなどで展開しています。アジア市場に関しては、アジア地域における資生堂ブランドの認知度の高さを活かし、サロンの育成を図っています。
アジアでの事業展開は製品の輸出販売に始まり、資生堂グループの現地法人設立による海外でのブランド育成型モデルへと発展してきていることから、アジア地域での製品売上は拡大が続いており、より一層重視すべき市場としています。
・日華化学
同社は、韓国と中国に拠点を設け、日本国内で製造した商品を販売しています。韓国では、現地法人美容室向けの商品販売を手掛けており、中国では2014年に現地法人を設立し、16年1月から、北京市で自社ブランド品の販売を開始しています。
また、中国では広州の化粧品メーカー2社と提携して16年中に相手先ブランドでの化粧品開発をスタート、17年に販売を開始する計画です。生産は、日本国内の自社工場と中国現地の工場を使い分けるとしています。
アジア戦略では、既存拠点のある韓国と中国に加え、東南アジア地域向けの商品販売強化を図っています。また、各国の現地販売代理店との交渉を進めており、一部の国では既に取引を開始しています。
・ミルボン
同社は2004年にアメリカ子会社を設立したことを皮切りに、07年に中国、09年に韓国、11年にタイに子会社を設立しています。
また、11年に台湾駐在員事務所、12年に香港駐在員事務所、13年にトルコ駐在員事務所とマレーシア駐在員事務所、14年にインドネシア駐在員事務所、15年にはフィリピン駐在員事務所を開設するなど、積極的な事業展開を図っており、生産拠点としては13年にタイ工場を竣工させています。
15年度のアジア売上高は2852百万円(中国₌665百万円、韓国₌1425百万円、タイ₌90百万円、その他地域₌672百万円)となっており、19年度売上目標として5660百万円を掲げています。
おわりに、業務用化粧品メーカーでアジア需要を確保しようとする動きを見せているのは、資生堂、日華化学、ミルボンの他、アリミノ、三口産業、ナンバースリーなどまだまだ少ないですが、日本のメーカーの業務用化粧品がアジアで人気が高いため、今後、アジア需要の開拓に注力する業務用化粧品メーカーは増加していくものと思われます。