【週刊粧業2017年3月6日号5面にて掲載】
今回と次回は注目されているハラール認証について、日系メーカーの対応状況をご紹介したいと思います。
OEMメーカーの動向
OEMメーカーでは、プロテックスジャパンとマーナーコスメチックスが認証を取得しています。
プロテックスジャパンは、2012年にインドネシア工場でハラール認証を取得後、2014年に本社工場においてハラール認証を取得しています。同社では、京都に本社工場を構えている関係から、地元のホテルを中心にイスラーム圏の観光客を対象にしたハラール認証のアメニティ製品の製造依頼が増加しているようです。
マーナーコスメチックスは、2014年に主力の生産拠点であるくりこま高原藤沢工場内にハラール認証の生産ラインを導入して認証を取得、2015年6月よりハラール認証製品の製造を開始しています。
同社では日本のブランドメーカーが展開するハラール認証ブランドのOEMを複数手がけている他、ムスリムの多く住む東南アジアや中東エリアの事業者から、指定原料を配合したハラール化粧品の製造依頼が増加しているようです。
原料メーカーの動向
原料メーカーでは小川香料、オリザ油化、キミカ、サウスプロダクト、タマ生化学、日本バリアフリーなどが認証を取得しています。
小川香料は、2014年にインドネシアのフレグランス専用工場で認証を取得しています。インドネシアでは2014年に成立したハラール製品保証法成立を背景に、ローカルメーカーを中心に引き合いが増加していることから、2017年内を目処に生産能力を従来の5倍に拡大する計画を立案しています。
オリザ油化は、ASEANや中東ではムスリムが多く、ハラール認証原料の問い合わせも多いことから、2011年4月から、拓殖大学イスラーム研究所の指導のもと、ハラール認証取得準備を進め、2014年に33品目(約半分が化粧品原料)についてハラール認証を取得しています。
現在、認証を更新中であり、2016年度中には62品目(約半分が化粧品原料)についてハラール認証が取得できる予定となっているようです。
おわりに
OEMについては、インバウンド対応のアメニティ商材については今後も訪日観光客が増加することから引き合いは増えていくものと思われます。
また、ハラール認証製品の輸出についても、イスラーム国家は親日国が多く日本製への信頼度も高いため、主に現地のローカルメーカーを中心に引き合いは増加するものと思われます。
原料については、グローバルで化粧品原料を販売するエボニックやクローダが相次いでハラール認証を取得していること、グローバルブランドメーカーであるユニリーバがインドネシアの全工場でハラール認証を取得するなど、主に欧米系メーカーでの動きが活発化していることから、今後は、ローカルメーカーだけでなく、欧米系メーカーからの引き合いも増加する可能性も高いと思います。