【週刊粧業2017年4月3日号5面にて掲載】
今回は注目されているハラール認証について紹介します。
日系ブランドメーカーでは、資生堂、花王、マンダム、ロート製薬といった大手ブランドメーカーをはじめ、かがやくコスメ、ナチュレモフィード、PBJ、本島椿、MYYUKI、ロイヤル化粧品などが認証を取得していますが、今回は大手ブランドメーカーを代表して資生堂、その他ブランドメーカーを代表してMYYUKIの事例を紹介します。
・資生堂
資生堂は、2008年に認証制度の調査を開始、12年にベトナム工場で認証を取得し、マレーシアにて認証を取得した「Za」(28製品)をテスト販売している他、13年にはバングラデシュ専用ブランド「レディーバ」(全4品200~300円程度/品)で認証を取得しています。
バングラデシュでは、現地の女性に販売を委託、売上の1割が女性販売員に入る仕組みを構築しており、15年末までに約3800回のワークショップを開催しました。
商品は14年末までに2300個以上を販売、15年からは近隣の雑貨店へ販路を広げています。同社では、現地での活動を活かし、水や汗を感知すると紫外線防御膜が強化される世界初の技術「ウェットフォース」を開発、この技術が15年3月発売の「SHISEIDO パーフェクト UVプロテクション N」に採用されるなど、副次的効果も出ているようです。
・MYYUKI
同社は98年創業のブランドメーカーで黒い石鹸「ブラックペイント」を主力商品として、日本では百貨店やバラエティストアを販路としています。来日したUAEの皇族女性が購入後ケース単位で継続して購入したことからハラール認証のニーズがあると考え、13年よりハラール認証への取り組みを開始して14年に認証を取得しました。
認証取得後は米国やシンガポールへの輸出を開始したほか、マレーシアのハラール製品見本市に出展したことで東南アジアからの引き合いも増加しています。特にマレーシアではショッピングセンター内に直営店を6店舗オープンするなど、積極的な取り組みを行っています。
おわりに
現状のハラール化粧品市場はニッチ市場ですが、16年にはユニリーバがインドネシアの全工場でハラール認証を取得しており、17年には、マンダムがインドネシアで販売する全製品について17年夏ごろを目処に認証の取得を予定しています。
また、欧米系では、ロレアル、P&Gといったブランドメーカーも、ハラール認証を取得するか否かは別にして取得できる体制は整えていると見られています。
これらのことから、今後ハラール化粧品市場は急速に拡大する可能性がありますので、日系企業としてもその動向を注視していく必要があると思います。
また、ハラール認証の取得は各メーカーのマーケティング戦略上の問題となりますが、イスラム教の教義に配慮した製品開発は必須になってくるのではないかと思います。