第37回 日本のハラール認証団体について

【週刊粧業2017年6月5日号5面にて掲載】

 現在、世界には約16億人以上のイスラーム教徒(ムスリム)が存在し、全世界のムスリム人口の6割をアジア太平洋地域が占めるといわれています。2030年にはムスリムが22億人まで拡大するとの予測もあり、近年、ムスリムを対象としたハラール商品への関心が世界的に高まってきています。そこで、今回は日本のハラール認証機関について書きたいと思います。

・日本で公認されているハラール認証団体

 ムスリム向けにハラール認証取得を示すハラールマークを商品に表示して販売する場合には、当該国の認証機関・団体またはその公認を受けた国内の認証団体で認証を取得する必要があります。そのため、輸出相手国の認証機関が日本の認証団体を指定している場合は、その認証団体が発行するハラール証明書を取得する必要があります。

 以下に日本で公認されている機関・団体を一覧していますが、マレーシアが6団体と最も多く、インドネシア、シンガポールがそれぞれ3団体、UAEが2団体、トルコが1団体となっております。

 この中で注目されるのはマレーシアのハラール認証機関(以下JAKIMと表記)の動向です。従来JAKIMの相互認証は「日本ムスリム協会」「日本ハラール協会」の2団体のみでしたが、17年2月に「日本イスラーム文化センター」「日本アジアハラール協会」「ムスリムプロフェッショナル協会」「日本ハラールユニット協会」の4団体を追加認証して一気に6団体になりました。

 マレーシアは国策としてハラール認証のデファクトスタンダードを目指しており、マレーシアの国益になり、かつ経済成長が期待できるビジネスを展開できる非イスラーム国家である日本での展開を強化しています。

 この認証団体拡大を契機に、マレーシアへ向けた日本のハラール製品の輸出が拡大することも考えられ、今後の日本とマレーシアの相互の経済発展がより一層進む可能性があります。

・日本で公認されているハラール認証団体の対応国一覧

 日本で公認されている機関・団体の対応国を以下に一覧しています。

 日本ムスリム協会が4カ国で最も多く、日本ハラール協会、日本アジアハラール協会、日本イスラーム文化センター、ムスリムプロフェッショナル協会がそれぞれ2カ国、イスラミックセンター・ジャパン、日本ハラールユニット協会、九州イスラミックカルチャーセンターがそれぞれ1カ国となっております。

 おわりに

 ハラール化粧品が注目を集めだしたのは09年ごろからと歴史は浅く、化粧品市場におけるハラール化粧品市場はごく一部です。また、ハラール認証は義務ではなく認証が無くても商品を提供することは可能ですし、取得しただけで新たな販売先が見つかったりするわけではありませんが、化粧品に対するハラール認証の注目度は徐々に高まりつつあります。

 今後、インドネシアやマレーシアでは中間層の割合が爆発的に増えると予想されていますが、そうなりますと、生活の質の向上や健康にも意識を向ける余裕が生まれるようになり、化粧品についてもハラールを意識した生活をするようになる消費者も増加すると考えられます。

 現時点で外資の大手メーカーは様子見の状態ですが、ユニリーバ、マンダムなどではハラール対応を進めています。今後、他の大手メーカーでもこういった動きが出てくれば、それに追随する動きが必ず出てくると思います。

 そうなれば、ハラール化粧品市場がグローバルで一気に拡大する可能性が十分にありますので、ハラール認証の動向については十分留意して見ていく必要があると思います。
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浅井潤司

(株)矢野経済研究所主席研究員

2000年に矢野経済研究所に入社後、主にビューティー・リラクゼーション業界の市場調査、分析業務を担当。また、調査・分析業務だけでなく、中国市場進出支援、販路開拓支援、新規事業支援、地域振興・産業振興支援などのコンサルティング業務も手がけている。

http://www.yano.co.jp/asean_india/index.php

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