第4回 インフルエンサーマーケティングは量より質を重視

【週刊粧業2021年4月19日号10面にて掲載】

 「インフルエンサーマーケティング」の注目度は年々高まっている。

 一般的には、TwitterやYouTube、Instagramなどで影響力を持つインフルエンサーに商品のPRを依頼する、フォロワーへの認知拡大や購買促進の手法と捉えられがちだ。

 しかし、フォロワー数が多い人物を起用したり、一斉にPR投稿してもらったりするなどの「量」を担保する方法が、必ずしも成果につながるわけではない。

 インフルエンサーを起用する目的や意義を定め、どのようなユーザーに、どのようにブランドを想起してもらいたいのかといった施策の本質に焦点を置くことが重要だ。即ち、量ではなく「質」を担保し、高めていく方向性でなければ、施策を成功に導くのは難しい。

 インフルエンサー市場は活況を呈しているため、候補者は無数にいる。最適な人物を選び、施策の質を高めるには、「訴求軸」から決めていくとよいだろう。

 例えば、商品の機能を紹介してもらう「機能訴求軸」が良いのか、Vlog(Video Blog)などユーザーの日常に入り込むような「日常訴求軸」が良いのか。

 企画の目的やペルソナなどとの連動性を鑑みて、最も刺さりそうな軸を洗い出すことを勧めたい。

 また、どのSNSプラットフォームにおいても、最適なインフルエンサーを選ぶには次の3点に注目するとよい。

 1つめは、過去に自社に関連した好意的な投稿を行っていること。熱量を持って協力してくれる可能性が高いため、起用すればそのフォロワーにも響きやすくなる。

 2つめは、投稿の傾向だ。そもそもコスメ関連の投稿は多いのか、自社に近い価格帯や特徴をもったブランドへの関心度は高いのかを確認する。ここをクリアしていれば、フォロワーも同じような関心を持っている可能性が高い。

 3つめは、フォロワーとのエンゲージメントだ。投稿に対するコメント数やいいね数を見れば、彼らとそのフォロワーとの関係性が、ある程度は推し量れる。熱量が高く、ポジティブなコメントが多いことも望ましい。

 「購入報告コメント」の有無など、彼らがフォロワーの購買行動に与えている影響力も見るべきだ。他のSNSに購入報告が波及しているかどうかも確認すると、より良いだろう。

 例えば、あるYouTuberの名前をTwitterやInstagramで検索して「〇〇がオススメしていたこのコスメ、凄くよかった」という投稿が多ければ、拡散力もある人物だと推測できる。

 最後に、インフルエンサーマーケティングを成功させる1番のコツを紹介したい。それは、依頼先のインフルエンサーと直接対話することだ。

 代理店を通している場合、依頼主の企業とインフルエンサーが直接話す機会は設けられないのが一般的である。だからこそ、代理店任せにせず、自社の理念や商品に込めた想い、「あなたを選んだ理由」を真摯に伝えてほしい。

 インフルエンサー自身の熱量も変わり、結果的に成功確率も上がるはずだ。
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岡崎佑紀

(株)ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部

「ソーシャルメディアマーケティングにスタンダードを創る」をビジョンに、SNSマーケティング支援サービスを提供。膨大なソーシャル・ビッグデータに基づいた独自のSNS活用メソッドを軸に、企業の認知拡大や売上拡大に繋がるSNSマーケティングを支援しています。

https://www.hottolink.co.jp/

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