【週刊粧業2021年6月28日12面にて掲載】
若々しいパワーで消費の中心となっている中国Z世代。しかし、そのZ世代は「加齢」にも非常に敏感な様子。今回は、中国Z世代に広がる「エイジングケア」について見てみよう。
中国Z世代の美容トレンドはますます多様化している。
最近、じわじわと話題になってきているのが「抗初老」、すなわち20代からアンチエイジングを行う「アーリーアンチエイジング」である。
もともと中国ではかなり早い段階からアンチエイジング意識が芽生える人が多い。
筆者も20代の女性がSK₋Ⅱをはじめとするエイジングケア化粧品を愛用するのを多数見かけてきた。
それが昨今は「抗初老」という言葉が生まれ、より高まりを見せているのである。
中国の調査会社の調べでは、アンチエイジング系化粧品の消費のうち、実に半数近くがZ世代によってなされているという。
さらに2020年のZ世代消費から見る「抗初老」ニーズの伸びは、前年比30%以上と、「保湿力」や「美白」といった従来のニーズを上回る成長となっている。
トレンドExpressではそうした中国の「抗初老」ニーズを知るべく、SNSクチコミ簡易分析を実施した。
その結果、月ごとのクチコミ件数においては、20年は3月、5月、11月の商戦シーズンに高まりを見せており、商戦においても「抗初老」が一定のトピックスとして認知されていることがわかる。
クチコミ内容を見てみると、ロレアルやSK―Ⅱなど、メジャーなブランドに混じって登場しているのが「丸美MARUBI」である。
同ブランドはエイジングケアに特化した中国のブランドで、日本にも進出している。
他のブランドと比較してやや安価で、若者でも手に入れやすい価格帯であることから、アーリーアンチエイジングを始めようとする人に好まれていると思われる。
特に人気が高いのはアイクリームだが、最近は美顔器とエイジングケアクリームが一体化した商品も注目を集めている。美顔器ブームに相まって、クリーム・美顔器一体化という商品の目新しさが話題になっているのである。
さらに同ブランドは、Weiboや小紅書(RED)、抖音(Douyin)など複数のプラットフォームでのZ世代向けマーケティングにも積極的だ。数多くのKOLから、使い心地や使い方について紹介する投稿が行われていた。そうしたSNS投稿によって、一見しただけでは使い方が分かりづらいクリーム・美顔器一体型商品の使用シーンを消費者はイメージでき、購買を検討しやすくなるのである。
何よりも、美顔器からクリームが出てきて、顔の上をコロコロとマッサージしている珍しい様子は、新しいもの好きのZ世代に「試したい」という欲求を起こさせる。
「何か気になるものがあれば、まずはSNSで検索をする」Z世代と相性がいい商品であり、Z世代の “種草”心をくすぐる仕組みになっている。
ちなみに、丸美のエイジングケアクリームには面白いあだ名がついている。「アイロンクリーム」である。
その意味は「目元のシワをアイロンのように伸ばしてくれる」というもので、こうしたワーディングもZ世代の興味を引いているようだ。
他の世代に比べても美意識が高く、美に敏感な中国Z世代。加齢によるわずかな変化にも、すぐに「対策を打たねば」と考える傾向が強い。今後も中国アンチエイジング市場は、この若年層を中心に回りそうだ。