【週刊粧業2021年7月19日号8面にて掲載】
1990年代後半以降に生まれた「Z世代」。彼らの97.7%が、美容に関する情報収集源として「Instagram」を使っていることが、N.D.Promotionの調査からわかっている。
今回は、コスメブランドが若年層に正しくアプローチするためのInstagram活用法を紹介する。
若年層の検索行動は「ググる」から「タグる」に移行しており、GoogleではなくInstagramのハッシュタグ検索を用いて商品を検索する。
気になる商品名や品番でハッシュタグ検索をし、UGC(User Generated Contentの略語。ユーザーによるクチコミ)から商品のレビュー情報を確認し、購入時の参考とする。
検索結果にはフィード投稿だけでなく、短尺動画を閲覧できる「リールズ」が表示されるようになった。「Instagramで検索すると参考になるUGCが豊富にあり、それはGoogle検索では出てこない」ことを、若年層は認識している。
また、彼らは影響力の大きい芸能人よりも、友人や知人などの身近な人物、趣味で繋がっている人物(インフルエンサーなど)といった、考え方が近しい人をフォローし、彼らの投稿を参考にする。若年層は「共感」や「自分ごと化」できる情報を重視するようだ。
若年層特有の情報収集の特徴を踏まえ、企業はInstagramを活用してどうアクションしていくべきか。
まずは、自社ブランド名や商品名に関するUGCからユーザーインサイトを得て、自社投稿に活かしてほしい。
若年層に自分ごと化して受け取ってもらえるコンテンツの「文脈」を押さえ、彼らが違和感なく閲覧できる投稿を作成することが、成功の秘訣だ。
例えば、ある調査ではZ世代の87.9%がInstagramのリールズで美容系コンテンツを閲覧することが判明している。
メークの参考になるハウツー系のUGCが多いことが、人気の理由らしい。リールズはTikTokと同じく縦型の短尺動画だが、TikTokが「暇つぶしのような感覚」で使われているのと比べて、リールズは情報収集など、目的ありきで閲覧されている傾向があるようだ。
こうした背景を鑑みれば、企業側は若年層特有の検索行動のパターンや検索の目的、メディアの使い方、そして求める情報を押さえた投稿を作成すべきである。
例えば、ブランド名をハッシュタグ検索した際にリールズ投稿が上位表示されることを狙って、公式アカウントからスキンケアに関するお役立ち動画を投稿し、若年層にブランドを認知してもらうのもひとつの手だろう。
若年層の多くが、Instagram上の情報をコスメ購入時の参考にしている。
プラットフォームを活用できるポテンシャルがあるならば尚更、彼らの検索目的やニーズに合った投稿、共感できる「文脈」を踏まえたコンテンツの作成に力を入れたいところだ。