第46回 インフルエンサーマーケティングに見る、今、求められる「持続しやすいPR」の形とは

【週刊粧業2021年8月9日号5面にて掲載】

 長引くコロナ禍ですが、この度、当社コスメラウンジで会員である美容インフルエンサー向けに「この1年半であなたのイベント&モニター活動はどう変わりましたか?」をテーマにアンケート調査を行いました。

 リアルイベントがほぼなくなった中で、回答者の半数以上が増えた活動として挙げたのが「オンラインイベント」や「ウェビナー」を通じたモニター活動でした。「オンラインイベントでは、企業の担当者が画面を通じて直接レクチャーしてくれるため、以前のリアルイベントより理解度が増し、親しみが湧く」という意見が多かったのも特徴的でした。

 また、「以前はSNSの投稿写真もイベント会場の華やかさが頼りだったが、商品撮りと自撮りが増えたことで、撮影小物や演出に手間をかけるようになった」「撮影のスキルが上がった」など、アップする写真への工夫面についてのコメントも多かったようです。

 「人とのつながりが減ったせいか、ブログより反応を感じられるインスタグラムに張り合いを感じて、インスタグラム投稿が中心になった」「クチコミサイトで自分の口コミに対する反応が早かったのが嬉しかった」など、対面での情報交換が難しい状況下で、他者からの反応に関する声も少なくない印象でした。

 「高価格のアイテムをモニターで試せるのが嬉しい」「モニター企画がなければ知らなかったブランドに出会えるのはありがたい」など、店頭やリアルな交流での情報収集が限られる中、こうした非対面施策はインフルエンサーにとってもメリットが多いようです。

 その一方で、「SNS投稿内容に関して、依頼企業側から要望や細かな指定が多い」などといった不満を感じる声も少なくないようで、「何度も投稿に対して手直しを求められ、全く自分の文章ではなくなった。今後は参加を見送りたい」といった声もありました。

 さらに、「最近では購入を依頼される案件も増えてきた」という回答も多く、こうした声を聞くたびに、関心度が高く発信力ある人たちに、純粋に商品を試してもらって自発的な感想を発信してもらうという、本来のモニター企画のありようが問われているような気がします。

 昨今、定着しつつあるインフルエンサーマーケティングですが、参加者のモチベーションにこそ企業を応援したい動機が潜んでおり、それによって成り立っているPR施策とも考えられます。

 手法やアクションが限られる難しいPR環境ではありますが、私たちマーケティングに関わる者は、企業側とインフルエンサー側のお互いがwinwinの信頼関係を構築していくことが「持続しやすいPRの形」であると常に考えていかなければならないでしょう。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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