【週刊粧業2022年09月12日号9面にて掲載】
多くのEC通販事業者の共通課題として、新規獲得効率の悪化があります。競合の参入、消費者の広告疲れもあり、年々、獲得効率の悪化が顕著になっています。
そこで、積極的に取り入れていきたい施策が休眠客の掘り起しです。
「商品が余った」「他社の商品を使ってみたい」「効果をイマイチ感じなかった」など、休眠になってしまった理由はさまざまです。
ただ、商品の使用経験のない人を広告によって振り向かせるよりも、使用経験のある休眠客にアプローチした方が購入に至る可能性は高く、コストも労力も断然に抑えられます。
休眠掘り起こし成功の3つのポイントは
1、購入しやすいオファーを用意すること
2、DMやメルマガのキャッチコピーで必要性や、お得感を一目で感じさせることができること
3、リストを精査することになります。
休眠客掘り起こしにチャレンジしたけれど、上手く行かなかった場合は、購入ハードルの高いオファー設計をしてしまった、DMやメルマガのキャッチコピーが弱く、その商品の必要性を感じさせることができなった。
購入意向の浅い、お試し品購入のみのお客様ばかりに案内してしまったということが考えられます。
化粧品通販会社A社は、定期解約者に向けて、定期再開案内のDMを送りました。定期コースに戻ってきてらえれば、DMを都度送る手間やコストを抑えられるといった自社都合を優先してのオファー設計です。
結果、レス率が1%未満となり、かけたコストを回収することができるか否か微妙な数字となってしまったのです。
仮に、コストを回収できたとしても、かなりの時間を要することとなり、目先の売上、利益を目的に実施をしたため施策としては、失敗となってしまったのです。
定期コースをメインにしている企業は、休眠施策の際、定期コースに戻って来てもらうことを優先しがちです。
経済的に体力のある企業なら、レス率が1%未満でも、かけたコスト回収まで1年、2年待っている余裕がありますが、多くの企業は、目先の売上、利益を優先し、オファーを定期にするのか通常購入にするのかの検討も必要です。
定期コースの再開だけでお客様が反応するか、割引をしたり、何かお得なプレゼントを付けるといったオファーが必要か? 事前の検討が重要となります。
お客様視点で見た場合、魅力的なオファーなのかどうかを社内で検討してから実施するよう心掛けてください。
また、DMやメルマガとなると、既存客相手と思ってしまうのか、兎角、キャッチコピーが弱くなってしまいがちです。
対象が既存客であっても、新規客を獲得する時と同じ気持ちで、誰のどんな悩みを解決できる商品であるかをわかりやすく表現することが大切です。
化粧品通販会社B社は、当初、商品名+○○%オフというコピーで休眠掘り起こしのDMを送っていました。
継続して買い続けているお客様であれば、お得なこのチャンスに買おうとなりますが、休眠したお客様にはお得であるだけでは購入になかなか至りませんでした。
そこで、季節から来るお肌の悩みとその商品がもたらす効果を合わせたキャッチコピーを考えるようにしました。変更したキャッチコピーでDMを送った結果、必要性がお客様に伝わり、単にお得であると表現していた時よりも、高いレスポンスが得られました。
休眠施策を行う際には、購入回数、未購入期間、累計購入金額なども考慮して、リストの抽出を行います。リストの抽出を工夫するだけでも、効率良く休眠客の掘り起こしを行うことができます。
どのEC通販事業会社も、新規獲得は効率が悪くなっていますので如何に、今持っている既存客リストを活用できるかが、事業成功の下支えをします。
是非とも、今こそ、自社の資源を活用し、強いEC通販企業体制の構築を目指してみてはと思います。