【週刊粧業2022年3月7日8面にて掲載】
スキンケア意識の高い中国の消費者。そのスキンケア手法も常に変化をしている。今回は中国のSNSをチェックしながら見えてきた、2022年に新トレンドとなりそうな中国のスキンケア手法を見てみよう。
毎年のように新しいトレンドが現れてくる中国のコスメ業界。スキンケアに関しても、2019年ごろから「成分党」と呼ばれる消費層が成長、ヒアルロン酸やアミノ酸、ニコチンアミドなどの成分が一躍脚光を浴びた。
簡単に言えば、以前は「商品ブランド」に頼っていた中国の消費者も、より細かく、そして科学的なスキンケア効果を求めつつある。
すなわち「スキンケアのこだわり化」である。
そんなスキンケアで2022年に注目しておきたいのが「以油養膚」というキーワードである。
この「油」とはすなわち「エッセンシャルオイル」のことである。
中国では乾燥肌に悩む女性が多い。エッセンシャルオイルを使って皮膚の上にオイルの膜を作ることで、適度な保湿効果を得ようということだ。
このキーワードに関して、ウェイボーのクチコミ簡易分析を行ってみると、2021年9月ごろまでは月500件程度しかなかった投稿は、10月に入り一気に増加し、1000件を超えた。12月には2000件に迫っている。そのまま2022年も月1000件のペースで推移している。
中国では10月~11月は最大商戦であるダブルイレブン(独身の日)シーズンにあたる。
したがって、商戦において多くのブランドがこのキーワードを使って訴求していたと推察できるが、つまりはそれが消費者に受け入れられるキーワードであり、さらにはその熱が現在も続いていると言えそうだ。
女性ユーザーが多い中国の体験型SNS小紅書(RED)でも、「以油養膚」で検索をかけると、トータルで3万件を超えるノートが投稿されており、一定以上の認知、浸透が進んでいることが見て取れる。
クチコミキーワードをより細かく見てみよう。「保湿」や「補水」に加え、「肌の引き締め」や「アンチエイジング」といった人気の効果、「敏感肌」「オイリー」など多くの女性を悩ませる肌質に関する言及がある。消費者は「以油養膚」に様々な効果を期待していることがわかる。それぞれの効果をもたらすものが使用するオイルの質である。キーワードにも「スクワラン」や「サザンカ」といった、異なるエッセンシャルオイルの原料が言及されている。
小紅書(RED)の投稿でも「毛穴の開きが気になるなら薔薇のオイルを……」というように、異なる肌質(肌の悩み)には異なるオイルと、自身にあったオイルを選ぶように訴える投稿があり、さらにはその選び方レクチャー投稿などが数多くみられる。
また今回の簡易分析で、クチコミされたブランドとして、中国の「阿芙AFU」と「林清軒」が確認できた。
「阿芙AFU」は、2003年に設立した多種多様なエッセンシャルオイルを専門的に扱うブランドで、世界中の優れた農家と提携し、良質なエッセンシャルオイルを世に送り出している。
「林清軒」は、中国伝統医学の理念に基づいた肌の修復機能が特長のサザンカのエッセンシャルオイルで認知度が高い。2020年には財政難からKOLが雇えず、社長自らライブコマースを行ったことでも話題になったブランドである。
これまで日本ブランドの多くはスキンケアでも化粧水、乳液、クリームなどに力を注いできたが、この2022年の中国の「オイルスキンケア」の動きには注目し、新たな手を考えたいところだ。