【週刊粧業2022年3月7日号10面にて掲載】
化粧品のマーケティングでのインフルエンサーによるSNS投稿はPR手法の1つとして定着しつつありますが、投稿に関する様々な課題に対して、対策や工夫を講じている企業も多いと思います。
リスク回避の視点で、昨今避けて通れないのが薬機法問題です。先月、当社コスメラウンジでも会員向けにアンケートを取ったところ、最近投稿で気をつけていることとして、9割以上のメンバーが「薬機法」を挙げました。
「効果効能等は断定的な表現を使用しないようにしている」「薬機法の勉強をするようになった」といった声も聞かれ、それほど薬機法への配慮が求められる案件が増え、一般消費者でもあるマイクロインフルエンサーも、プロの書き手と変わらない視点や自覚を持った人が増えてきたことが伺えます。
フォロワー総数といった従来からの定量的な効果とともに、投稿の相乗効果を求める視点として、SNS投稿に加え、コスメ系口コミサイトへの自主的な投稿を望む企業も多いですが、そうした状況に応えるかのように、インフルエンサーの口コミサイト利用率も高い状況にあるようです。
当社においても、96%のメンバーが何らかの口コミサイトのアカウントを所有し、うち8割以上が複数社のアカウントを持っています。
当社の場合は、ここ半年間の口コミレビュー投稿率は平均8割近くとなり、案件によっては9割を超えることも増えてきました。
こうした定量的な成果と同時に求められるのが「質の高い投稿をしてくれる人を選ぶ」ことですが、当社の運営担当者によると、質の高いインフルエンサーは、「コスメ中心で投稿しながらも、ファッションや食、旅など、その人の好みやライフスタイルが感じられるような投稿をしている」「自分で購入した製品を織り交ぜて紹介している」傾向がみられるようです。
幅広く自分のお気に入りのモノを自分の言葉で投稿している人や、自分で購入した製品も紹介している人は、義務感よりも純粋に良い情報を発信したい気持ちが強いため、いわゆる「懸賞目的」でモニター参加している人と異なり、「やっつけ仕事」的な投稿になりにくいのも理由として挙げられます。
また、昨今問題視されているインフルエンサーによるモニター製品のオークションサイトなどへの「転売問題」への視点として、「外箱のみの写真投稿が多い」人よりは「容器もテクスチャーも見せている投稿」の人を選ぶなど、リスク回避にも留意したいものです。
自社ブランドに見合ったインフルエンサーの選定基準を明確にしていくのも、リスクを回避し成果を最大限にする近道といえるでしょう。