【週刊粧業2024年11月25日号6面にて掲載】
「このハイライトを使うと透明感爆誕!」「このラメでぷっくり涙袋爆誕」……。X(旧Twitter)を開けば、顔やフェイスライン、バスト、肩甲骨など、あらゆる部位に対する「爆誕ノウハウ」が次々と登場します。
今や、ブランドが季節ごとの世界観で魅せる時代は過去のものになったかのように見えます。市場を制するのは、ビフォーアフターの明確な即効性とわかりやすさ。消費者の欲求を瞬時に満たすことが求められています。
このようにSNSが日常の美意識に深く浸透し、「手鏡発想」で細部にこだわる傾向が高まる中、ブランドが意識的に選ぶ戦略で大きく道が分かれます。短期的な価値を提供する「手鏡発想」で終わるのか、それとも消費者の日常や人生を豊かにする、長期的な「全身鏡発想」の価値を届けられるのか?
たとえば、「うるおい」や「さらすべ」といった表現を、「うるちゅる」や「ほわっと」に変えてみるとどうでしょうか? 「ほわっとした人」や「ちゅるっとした人」と聞くと、それぞれの人物像が自然に浮かびます。このように、質感を伝えながら、ブランドが提供する「なりたい人物像」を想像させることで、普通のキャッチコピーにも思いを込めることができるのです。
ただし、世代ごとに「なりたい自分」の像は異なります。例えば、以下のような傾向が見られます。
10代〜20代=垢抜け感、透明感、自己肯定感
30代=洒落感、自然体、上品さ
40~50代=幸福感、若々しさ、疲れ感のなさ
そして、「誰に」届けるかだけでなく「誰が」届けるのか、この2つのWHOも重要です。ブランドのキャラクター性と表現が一致することで、消費者に響くのです。
今の時代、美容は身だしなみや単なる見た目の改善にとどまらず、人生の向上に関わる存在となっています。商品や技術にとどまらず、消費者の「心のあり方」や「生き方」に寄り添ったメッセージングが、ブランドの成長には不可欠です。「美容して、その先どうする?」と考えるブランドか、それとも流行りのアイテムを出しているだけのブランドか。この違いは消費者に無意識のうちに伝わり、リピート購入につながります。
即効性が求められる時代で流されてしまいがちですが、ブランドのコアをしっかりと考え、訴求し続けることこそが、持続的成長につながるのです。デジタル広告費が非常に高くなりマーケティングの効果が出にくい時代だからこそ、これを理解しているかどうかで3年後の姿がまったく変わります。
廣瀬知砂子
女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント
実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。
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