【週刊粧業2025年1月27日号6面にて掲載】
皆さんは、最近のスキンケアに求められる重要な要素をご存知ですか?「育てる・鍛える」ためのプロセスやストーリーがスキンケアの重要なポイントになっています。
この背景には、美容インフルエンサーによる情報発信の変化があります。近年、インフルエンサーには嘘のない「努力する姿」を見せることが求められるようになりました。消費者は「化粧品を塗っただけで劇的に変わる」といった甘い話に疑念を抱き始めており、インフルエンサーのPR投稿にも不信感を持つようになりました。
今や、インフルエンサーがSNSで高いエンゲージメントを得るためには、「綺麗な人こそストイックに努力している」という生き様を見せることが不可欠です。美しさの裏にある努力を共有しなければ、信頼関係を築くことができなくなっているのです。
これは若い世代だけの話ではなく、大人世代にも広がっています。「素敵なあの人」「美ST」「ハルメク」「オトナMUSE」「Precious」といったメディアを分析したところ、「育てる」アプローチが目立ちました。
例えば、唇の縦ジワやボリュームダウンを「おばあさん唇」と表現してドキッとさせ、リップケアを「鍛えてふっくらと整える」アプローチとして紹介したり、目の下のたるみやクマを「老けまぶた」と命名し、眼輪筋を「トレーニング」してハリを取り戻す方法を提案したり、まつ毛エクステや眉のアートメイクに頼るだけでなく、自分の毛を活かしてナチュラルな印象に導く提案を行っています。
こうした「自然体」志向はバストケアやフェイスラインケアでも同様で、美しいデコルテや胸郭の整え方、二重あご・スウェイバック改善など、全身のバランスをトータルで「育てる」視点が注目されています。髪においても「パサ髪」や「白髪」といった加齢によるダメージに対して、頭皮環境や髪の内部構造に働きかける商品が人気です。このような提案の背景には、「今あるものをどう活かすか」という発想が共通しています。
「歳を重ねるほどに諦める」のではなく、日々のスキンケアやボディケアなどプロセスそのものを楽しみ、「工夫次第で自分をアップデートできる」という実感や自己肯定感を得る流れが強まっています。この流れは、化粧品マーケティングにおいて消費者の意識変化を理解する上で非常に役立つヒントとなります。ブランド側には、消費者が主体的に美しさを追求し、そのプロセスで達成感を得られるような体験や価値を提供することが求められています。
廣瀬知砂子
女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント
実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。
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