第100回 日本VS韓国 コスメマーケ対決は新次元へ

 若い女性との会話が、この数カ月で変化しているのを実感します。

 「このブランド、韓国では全然人気ないって知ってた?」

 「オリーブヤングのランキング、日本と全然違うんだよね」

 「みんなが買ってるあのブランド、韓国じゃそんなに評価高くないって知ってた?」

 かつては「韓国コスメだから可愛い!」「韓国の商品だから間違いない!」という前提だったのが、より冷静で分析的な視点が広がっています。

 「インフルエンサーが薦めているから」という理由だけでは、財布の紐が緩まなくなってきているのが顕著です。また、少し前までは「Xでバズると売れる」という現象が多く見られましたが、最近の投稿はユーザーの本音というよりもバズを目的とした技巧的な投稿や収益を目的としたなりすましアカウントが増え、以前ほど信用されなくなってきています。

 こうした変化の中で、韓国コスメは新たなフェーズに入っています。ローソンとrom&nd、セブン―イレブンのCLIO、ミニストップのYNM、そして3月からはファミリーマートのhinceが加わり、韓国のプチプラメイクは日常に当たり前のように馴染みはじめました。

 一方で、より単価が高いスキンケアやベースメイクカテゴリーでは、ブランディングを強化する動きが進んでいます。三吉彩花を起用したダルバのビジュアルは、まるでディオールのようなラグジュアリーさを演出。VTは北村匠海を継続的にブランドの顔として起用し、TIRTIRは、いち早くSTARTO社のジュニア新グループACEesをモデルに採用するなど、日本のマスブランド顔負けのマーケティング施策を展開しています。タレントの起用だけでなく、共感を呼ぶコミュニティづくりなど、細やかな手間を惜しまないのも韓国コスメの強みです。たとえば、VTはXで「中の人割」を実現させるべく、上司に交渉する様子をリアルタイムで投稿し、Qoo10ですぐに売り切れました。

 韓国コスメの“ボーナスタイム”は終わり、今、企業はブランドとしての一貫性を保ちながら、いかに多くの消費者と信頼関係を築けるかに力を入れはじめています。その答えを見つけ出せたブランドだけが、次のステージへと進んでいくでしょう。

 この競争において、日本ブランド・韓国ブランドという区分は意味をなさなくなり、これまで以上に激しく競合することになります。より厳しい競争環境の中、日本ブランドはさらに気を引き締めなければなりません。

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廣瀬知砂子

女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント

実践をモットーとする化粧品コンサルタント 現場発想で生み出した独自の商品企画法やトレンド分析法で、大企業から中小企業まで多くのヒット商品を手がけている。

http://www.beautybrain.co.jp/

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