第109回 明確な理由なくやめた施策を復活させる

【週刊粧業2025年4月21日号9面にて掲載】

 ご支援先での打ち合わせで、施策の提案をした際に、たまにですが、「以前は行っていたのですよね~」と言われることがあります。そこで「どうしてやめたのですか?」と聞くと、明確な答えが返ってきません。

 ツールの在庫切れ、担当者の引継ぎなどきっかけは様々ですが、自然消滅してしまうことがあるようです。目新しい施策を考え、実行することはすぐにできることではありませんが、過去に実施していた施策であれば実行は早くできるはずです。

 化粧品通販会社A社は、お試し品購入者にフォローDMを送っていました。ある時に引き上げ率の数字を確認してみると、以前よりも下がっていることがわかりました。原因を究明してみるとフォローDMの在庫が切れたのをきっかけに、送るのをやめてしまっていたことがわかりました。

 化粧品通販会社B社は、コールセンターから上がってくるお客様の喜びの声、クレームを全社員で読む取り組みを行っていました。しかし、コロナ禍でリモートワークの期間があったことで、取り組みが中断しました。誰かが復活させるだろうと思っているうちに、時間だけが経過し、結局、自然消滅してしまいました。

 化粧品通販会社C社では、初回購入者にステップメールを送り2回目購入促進を行っていました。ある時期から、2回目購入率が低下していることに気づき原因を探していると、ステップメールが送られていないことがわかりました。ステップメールを送っていない理由は、内容の見直しをすることに手間取り、いつしか、以前、送っていたステップメールを止めたことも忘れさられてしまっていたのです。

 2回目購入率のアップを目的に、内容の見直しを行うはずが、送ること自体が止まってしまうという本末転倒な結果となってしまいました。担当者1人ではなく、複数人で施策の進捗確認をしていれば避けられたことでしょう。

 定期コースの引き上げ率アップ、継続率アップ、クロスセルの提案、休眠客の掘り起こし、様々な課題について施策を考える時に、常に新しいものはないかと考えがちです。

 新しいアイデアを出そう、他社事例を研究しようといった取り組みも大事ですが、過去に実施した施策を思い出してみてはいかがでしょうか? その中に、成果は出ていたのに、理由もなくやめてしまったものがあるかもしれません。

 時に、過去の施策を思い出し、良い施策があれば復活させてみてください。

 もしかしたら、宝が社内に眠っているかもしれません。

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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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