ブックタイトル化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

ページ
21/30

このページは 化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号) の電子ブックに掲載されている21ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

脱プラ・減プラの実現へC&T 2019-10 25用したボトル容器は、既に食品トレイとして実用化されている食品トレイをヒントに開発を進め、協力会社を通じて2019年6月にG20サミットに試作品を展示したという。その後「さらに改良を進めて製品化し、2020年2月から生産を開始していく」。 NPO法人 地球船クラブが運営する環境福祉施設「エコミラ江東」が、魚箱や納豆パックなどニオイのする発泡スチロールや食品用の着色トレイといった、スーパーなどのリサイクルボックスで回収されないプラスチックごみを回収し、洗浄して再資源化したポストコンシューマ材を使用している。 「品質劣化がある程度許容されるリサイクルではなく、リサイクルする際に従来よりも価値を上げる『アップサイクル』の考え方。今までは技術的に難しい部分もあったが、実現可能な環境が整った」 試作品は5層構造だったが、ガスバリア性を高めるため、容器の内側だけでなく、外側にもガスバリア層をつけるなど品質改良を進めて9層仕様にした。リサイクル層を、ガスバリア層により内側と外側の双方から挟むことで、リサイクル材で懸念されるニオイや環境ホルモンなどが外に漏れないよう設計しており、リサイクル層にはバイオマスプラスチックも使える。 「環境に配慮した素材であっても、従来と同じか、それ以上に品質を保持できる容器でなければ、なかなか採用に結びつかない。高い品質レベルを維持する日本企業に採用されるような環境対応型容器を提案できれば、海外市場も見えてくると思っている。容器・包装会社の社会的責任として引きつづき取り組んでいく」 容器メーカーの平和化学工業所は、1991年より生分解性プラスチックに着目して環境対応型容器の開発に取り組み、2000年に生分解性ボトル、2005年にバイオマスボトルの開発に成功している。近年は、リサイクルペット(ポストコンシューマ材)の利活用に着目し、新しい環境対応容器の開発を進めている。 畠山治昌常務取締役は「バイオマス、生分解、リサイクルの3つを環境対応の柱に開発を進めながら、従来のプラスチック容器でも薄肉化も進めている。問い合わせが増えている中で、顧客の商品や商品企画に対し、環境面でどのようなメリットを生み出せるかを考えながら環境対応容器を紹介している」と話す。これまで化粧品・日用品容器ではバイオマスプラスチックの利用が比較的多いという。 環境問題に対して「プラスチックの材質だけで何かを解決するのは不可能だ。ポイ捨てせず、河川・海にいかないようにすることをルール化して生活者の意識を高めることを大前提に、環境対応プラスチックの可能性を広げるため開発を進めてきた」。いち早く取り組んだ生分解性では、できるだけ分解を早くするというのが本流になりつつあるようだが、畠山常務は、流木などの自然廃棄物が海底ごみとして問題化されていないことを引き合いに「分解スピードの問題ではないとの気運も高まっている。長期的な分解への理解が広がれば、使用・保管期間の長い製品などにも生分解性プラスチックの使用用途は拡がる。そうした可能性も踏まえながら、今後も開発を進める」と語った。 注力しているというポストコンシューマ材を使業界に先がけて環境容器の開発に取り組み30年ポストコンシューマ材を用いた新製品を来春発売平和化学工業所畠山治昌氏アップサイクル発想の新型容器