ブックタイトル化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

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概要

化粧品・トイレタリーの専門誌C&T|2019.10(季刊No.181号)

8 C&T 2019-10抗体を作らせるという仕組みだ。皮膚のバリア機能が弱いと、皮膚の乾燥や外からの刺激に対して炎症を起こしやすくなる。 皮膚科医診断では、症状が乳児では2カ月以上、その他の場合は6カ月以上の慢性であるかどうか、かつ反復して起こっているかを確認し、「接触皮膚炎」やヒゼンダニの寄生によって生じる「疥癬(かいせん)」、「皮膚リンパ腫」や「乾癬(かんせん)」などアトピー性皮膚炎とは異なる皮膚疾患との鑑別をする。アトピー対策3) 対策は、①スキンケア②薬物療法③悪化因子の3本柱が基本になる。まずスキンケアについては、角質層の中の水分量が低下しているので、乾燥肌(ドライスキン)になっている。皮膚を清潔に保つことは大切だが、皮膚を傷つけることがないよう、あまりゴシゴシ洗わないようにする。 また、石けんや洗浄剤の過度の使用は、かえって乾燥を悪化させることがあるので、使い過ぎには気を付ける。よく泡立てて、刺激が少ない方法で皮膚の汚れを落とすとよい。シャワー浴よりも入浴の方がよく、湯温は、おおむね38度から40度と、ぬるめの湯にゆっくり浸かるのがよい。また、正常に見える部分も含め、全体に保湿外用剤を使用する。入浴直後の使用が効果的だとされている。 次に、皮膚に直接使用できる外用薬の塗布が基本で、その際「何を」「どこに」「どれだけ」そして「いつまで」塗るかを意識した使い方が大切だ。炎症を抑えるために最も重要な薬剤はステロイド外用薬で、一般的にストロンゲスト、ベリーストロング、ストロング、ミディアム、ウイークの5段階にランク分けされており、それを指標として重症度に見合ったランクの薬剤を使用する。ランクや使用量は、症状に応じて異なるが、ステロイドの副作用に対する忌避感で勝手に減量したりすると、治療に対する十分な効果は得られない。長期間のステロイド 今回は、成人で1割弱もみられる疾患であり、当事者にとって深刻な痒みの『やめられない』アトピーについて述べる。アトピーの発症 アトピーという名称は、「特定されていない」「奇妙な」という意味のギリシャ語「アトポス」(atopos- a=否定、topos=由来)に由来する。この病気は、「バリア機能が弱い」という皮膚の素質と「アレルギー体質」という2つの遺伝的な体質に、環境の因子が刺激を与えて起きると考えられている。 アレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」または「抗原」といい、アレルゲンが体内に入ってくると、これをやっつけようと「IgE(アイジーイー)抗体」というタンパク質がつくりだされる。このIgE抗体は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞の表面に、まるでアンテナのように張りめぐらされている。再びアレルゲンが侵入し、このIgE抗体のアンテナにひっかかり結合したとき、マスト細胞の中につまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出され、かゆみなどの症状があらわれてくる(図2)。 もう少し詳しく話すと、「インターロイキン4」や「インターロイキン13」といったサイトカイン(細胞の出すタンパク質)を出すTh2リンパ球(白血球の一種)が活発に働き過ぎてしまう。Th2リンパ球が活発に暴れて炎症が起きると、「インターロイキン4」や「インターロイキン13」が大量に出て、IgE図2 アレルギー反応がおこる仕組み2)