ブックタイトル週刊粧業2019年4月8日号

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概要

近年、エステティックサロンの市場規模はほぼ横ばいで推移している。美顔、痩身、ボディ市場は固定客に下支えされるもややマイナスで推移する一方、脱毛市場は脱毛特化型サロンの登場により微増で推移しており、トータルではほぼ横ばいとなっている。エステティック業界の活性化を目的に結成された「エステティックグランプリ」(以下「エスグラ」)で理事長を務めた経験を持ち、人気エステティックサロン「フルーツルーツ」の経営者としても知られる榎戸淳一氏に、エステティック業界の現状と今後の展望について話を伺った。

発行所 週刊粧業R東京都台東区上野1-18-9(黒門平成ビル3・4F)〒110-0005電話 (03)3836-2601FAX (03)3836-2602週刊粧業ホームページアドレスhttp://www. syogyo. jpE-メールアドレス     letter @ syogyo. jp   ?週刊粧業 2019(1) 2019年(平成31年)4月8日 第3155号 (昭和28年6月2日第3種郵便物認可) 購読料1ヵ年 15,000円(税抜)    毎週月曜日発行 ――直近の業界動向について教えてください。 榎戸 依然として厳しい状況が続いている。その理由としてはキレイになる選択肢が増えたことやエステティシャンの人手不足が挙げられる。 痩身のためのプライベートジムやヨガから始まり、ボディケアや保湿などのハイレベルな美容家電までエステ以外の美容の選択肢が増えている。 また、エステティシャンがなかなか定着せず、他業界へ流出してしまうなど、人手不足も長い間業界全体の課題となっている。 お客様がいても人材が集まらずに閉店を余儀なくされる店も出てきており、非常勤講師を務めている学校でもエステティック専攻から将来はビューティアドバイザーなどを志望する学生が増えており、エステティシャンを目指す学生の減少は肌感覚で伝わってきている。 こうした現状の中で、今こそエステティックの存在価値を見つめ直す必 ――エスグラの現状と今後について教えて下さい。 榎戸 今年からは「ボディ結果出し部門」が新たに始まる。 近年、ボディエステの需要が高まっており、密着や滑らかさなどの技術自体を審査するフェイシャル技術部門とは対照的に、どれだけ痩せたかがお客様に重要視される傾向にある。そのため、要がある。 美容室など周辺業種のお店でもマッサージが受けられるようになっている今、しっかりとした学びの上に、お客様の肌質や体質を見極めて行うトリートメントや、肌に合う商品を提案するカウンセリングにこそエステティックの存在価値を見出すことができる。 原点に立ち返り、存在価値の再定義を業界全体を挙げて行っていかねばならない。 ――サロンでの取り組みはいかがでしょうか。 榎戸 近年は小ロットからの生産が可能になったことからプライベートブランド商品の販売を行うサロンも増えており、昔と比べて新規集客が困難になる中でエステだけでなく、物販も強化することが重要になっている。 自社のオンラインショップを開設し、エステを卒業したお客様にも商品を販売する仕組みを構築するサロンが増えてきている。 特に、外面だけでなく内面からも美容効果を得たいというニーズから、3年ほど前からインナービューティアイテムを強化する店は増えている。 また、エステティックも行うプライベートジムなどの複合的な業態が発生してきており、今後も体重や体脂肪といった結果も含めて審査をしていく。 エスグラでは中学校や高校の職業体験の一環として、エステの魅力やマッサージの面白さを伝える試みや1日エステティシャン体験として実際に制服を着てマッサージを行ってもらうことで学生とエステティックの接点をつくり出そうという取り組みを行っている。 また、エステティックグランプリでは、エステスクールに通う学生が積極的に観戦に来ていただけるよう学校に呼びかけている。新卒で入ってもすぐ辞めてしまうことのないよう、夢のステージを実体験してもらう取り組みも進めている。 業界全体の現状を変革するためにもエスグラをはじめとする業界団体の存在は重要だ。まずは未来のエステティシャンを増やし、現役のエステティシャンのモチベーションを上げることに注力していく。 近年、エステティックサロンの市場規模はほぼ横ばいで推移している。美顔、痩身、ボディ市場は固定客に下支えされるもややマイナスで推移する一方、脱毛市場は脱毛特化型サロンの登場により微増で推移しており、トータルではほぼ横ばいとなっている。エステティック業界の活性化を目的に結成された「エステティックグランプリ」(以下「エスグラ」)で理事長を務めた経験を持ち、人気エステティックサロン「フルーツルーツ」の経営者としても知られる榎戸淳一氏に、エステティック業界の現状と今後の展望について話を伺った。業界全体の変革を推し進め未来の担い手の育成に注力 グローバル化やインターネットの普及・浸透を背景に社会は成熟化しながら複雑化し、後半はその成熟的複雑さを多様性と置き換え、受容・傾聴に努めた時代だったか。新元号の発表前夜後朝の高揚感を、社会的・経済的に成熟した平成時代を過ごした国民の総括的評価として見た。 改元への対応を滞りなく進められるよう2016年に退位を表明した天皇陛下の心遣いに、新元号決定から発表までの流れは果たして適当だったか。その是非を問うかのように、発表までの期間、新元号予想とともに元号廃止、西暦統一など様々な意見が飛び交った。私の予想した漢字2文字はカスリもしなかったが、いずれも新元号、つまりは新時代への期待の裏返しであれば、多様性時代の名シーンとして、自ら発信することなく見つめた。 さて、間もなく迎える令和時代は「多様性以後」を生きることになる。私たちは、多様性を受け入れるたび、同時に共通性・同質性に気づかされ、自然と人間、自然と人生の関係性について考え行動することになろう……と予測的に語ってみたが、それは既に「サステナビリティ(持続可能性)」という概念でもってスタートしている。  (菅)巷間美風エステティック特集… … ?~?美容の選択肢が増え続ける中、特 集 エステティック 存在価値の再定義へ新規集客が困難になる中、物販を強化することが重要このような業態は増える可能性がある。 新卒で船井総合研究所に入社し、様々な経験を積んだ後、「エステティック業界の健全化」に使命感を感じ、船井総研内で自らエステティック業界のコンサルティングを立ち上げ、業界内で多大な実績を残す。2009年8月にES-ROOTSを立ち上げ、2010年1月に東京都目黒区にオーガニックコスメエステサロン「フルーツルーツ」をオープン。エステティックグランプリの2代目理事長を務めた。榎戸 淳一 氏ES―ROOTS社長