市場調査会社の矢野経済研究所はこのほど、2012年度の国内化粧品市場の調査結果を発表し、スキンケア市場では「低価格帯の活性化」と「オールインワン商材の好調」の2点を主な成長要因に挙げている。
低価格化は5年前のリーマンショック以降に進行し、大手の制度化粧品メーカーも続々と参入。メーカー・ブランド間の競争が激しくなり市場が拡大している。来年4月には消費税が増税されるため、「さらに(低価格帯市場は)膨らみ、競争も一層激しくなる」(メーカー関係者)との指摘もある。
PBを含めた競争時代へ
各ブランドの施策に注目
矢野経済の調査によると、2012年度の国内化粧品市場(メーカー出荷金額ベース)は、前年度比0.8%増の2兆2900億円となった。このうち、スキンケアは1.0%増の1兆596億円へと微増し、単価が1000円前後の低価格帯アイテムが牽引役を果たしたと分析している。
また、製品特徴としては「時短」や簡便性を訴求したオールインワンタイプの商材が注目を集めているという。
低価格帯市場の盛り上がりは、特に大手制度化粧品メーカーが参入を開始した2010年以降に加速した。
ただ、結果的には「肌研(ハダラボ)」(ロート製薬)などの既存ブランドとシェアを奪い合う構図は回避され、市場全体が活性化しているのが現状だ。来年4月の消費増税後は、注目度がさらに高まる可能性もある。
一方で、大手メーカーを含むNBの新規参入に加え、流通・小売チェーン各社による化粧品PBも増えており、今後はPBを含めたブランド間の競争が加速していくことが予想される。
こうした中、各ブランドはどう生き残りを図るか。この点についてあるメーカー関係者はこう話す。「ターゲットとする年代やブランドのコンセプト、商品の用途や特徴などを明確に絞って訴求しないと、消費者になかなか選択してもらえないという競争に変わってくるだろう」
既に品質・技術は高度化し、消費者へのマーケティング手法も多様なアプローチを各社が試しているが、今後はそうした点においてますます高い精度が求められるということだろうか。
前出のメーカー関係者は「各社がいろいろな切り口で取り組むと予測している」と話しており、各メーカー・ブランドの今後の施策は要注目といえそうだ。
【記事掲載企業】
◎マンダム~水クレンジングでサンプリング強化、「ヘアジャム」は計画上回る滑り出し
その他掲載企業/ちふれ化粧品、ロート製薬、ウテナ、BCLカンパニー、ユースキン製薬、ジャパン・コーポレーション、JIMOS、柳屋本店
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この記事は週刊粧業 掲載
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