東洋ビューティ、宇都宮研究所を拡張移設、継続的な増員を視野に

粧業日報 2016年5月17日号 3ページ

カンタンに言うと

東洋ビューティ、宇都宮研究所を拡張移設、継続的な増員を視野に
 化粧品・医薬部外品の大手OEM/ODMである東洋ビューティ(本社=大阪市)は2016年1月、宇都宮第一工場の改装に合わせ、宇都宮研究所(栃木県)を従来の2.5倍の広さに拡張・移設し、研究開発体制を強化した。大阪市内のイノベーションセンター・中央研究所と合わせて国内2つの研究所には、約90名の研究員が在籍し、基礎研究から機能性評価、処方設計・開発に取り組んでおり、年間の新製品数は800品目を数える。

 宇都宮研究所を新設した2009年前後、年間2000件あった同社への製品依頼件数は、年々増え続けており、昨年は5000件近くにのぼったという。各部署で人員を補充しながら、顧客の依頼や要望に対応してきたが、2つの研究所では一人ひとりの活動スペースが手狭になってきていた。そこで昨年のイノベーションセンター・中央研究所を新設に続き、宇都宮研究所を拡張・移設し、労働環境の改善を図った。

 宇都宮工場は、2011年3月の東日本大震災で被災し、被害が大きかった第一工場は、生産に直結する部分の修復を急ぎ、事務棟は手つかずの状態だった。そのため、研究所の移設に合わせ、事務棟の改修および製造環境の整備も実施した。

 大内利夫常務取締役は、既に拡張・移転した本社や東京支店を引き合いに「労働環境をより快適にすることで、個々の業務レベルが高まり、業績に反映されている」と述べ、2つの研究所に対しても「新たな研究環境で付加価値を意識したモノづくりを進めてもらいたい」と期待を寄せる。その言葉を受け、宇都宮研究所の村山智洋課長は「スタッフの様子を見ていると、業務効率も当然よくなっているが、気持ちの面での変化が大きいと感じている。その気持ちを製品開発の意欲につなげていきたい」と語った。

村山氏「若手ならではのアイデアと
発想で『付加価値』を追求する」

 敷地面積1万3000坪の宇都宮工場では、第一工場(4200坪)に大量生産型の生産設備を整え、第二工場(同2100坪)に多品種・小ロット対応型の生産設備を充実させている。

 宇都宮研究所は当初、第二工場内に設置され、5名体制でスタートしたが、その後の増員により現在は20名(契約社員含む)で処方開発に取り組む。今年4月には新たに2名の新卒者が研究員に加わったが「新研究所は今の倍近く増やせる広さと設計だ」と宇田正道取締役兼執行役員・宇都宮工場長は話す。

 研究員の平均年齢は20代後半と若い。村山課長は「経験では劣るが、若手ならではのアイデアは、新たな価値を生み出すのに大切な要素だ」と述べ、新研究所でも柔軟な発想で開発に取り組める環境を継承していく考えだ。

 オンラインでつながる中央研究所は、基礎研究、機能性評価を行う設備も整うが、処方開発の研究員数は宇都宮研究所とほぼ同数だ。製品開発の進捗状況や、充填した製品を相互に送り合うなど「小まめに情報共有し合うことも相互の開発のモチベーションにつながっている」と村山課長は語る。

 宇田工場長は「試作の段階から実機ベースの生産プロセスを確認しながら開発を進められるほか、顧客の工場見学時に研究員も同席し、見学後に綿密な打ち合わせを行うことなども可能だ」と工場内研究所のメリットを挙げ、生産と開発が一体になって顧客の依頼・要望に対応していく姿勢を示した。

 営業本部長を兼任する大内常務は、関東圏での新規顧客の獲得数やスキンケア製品の受注増加などに、宇都宮工場・研究所の貢献度を測る。

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